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【ネタ記事】24時間耐久カラオケ

 それは何の変哲もない、とある平凡な日のことであった。カラオケ好きの部員K田がこんなことを言い出したのだ。

 「24時間カラオケをやらないか。」 



 我々報道部は、今までにネタを追い求めて様々な24時間ぶっ続け企画を決行してきた。そんな部員たちにとって24時間カラオケは生ぬるい企画に思えたのだろう。部員たちは「あぁ~いいっすね~」「男は度胸!何でもためしてみるのさ」「ヒャッハー!カラオケだー!」などと安易に引き受けてしまった。まるで成長していない……。


 さて、今企画のルールは実にシンプルである。24時間ぶっ続けで歌えば良い。ただし、同じ曲を歌ってはいけない。もちろん、居眠りなどもっての他である。食事は小休止の間に摂ることにした。かくして24時間カラオケはスタートしたのである。

 作戦決行日の正午。第一の戦場となるカラオケ○ックに先発部隊のK田とK野がいた。まずはK田が六甲おろしで喉のウォーミングアップを図る。その後K野が残酷な天使のテーゼを歌い、二人でカラオケの鉄板とも言える曲を消化してゆく。良い滑り出しと言えよう。

 午後4時。ここで遅れて筆者が参戦する。この時点で歌われたのは既に58曲。先発の二人の姿には早くも疲労が見られる。曲がかぶっていないことを確認し、筆者はタイガー&ドラゴンをチョイス。その後も歌い続け、午後6時頃にK村も参戦。最初の二人から四人に増え、歌うペースも緩やかになり、我々は余裕を見せ始める。そんな調子で午後8時、第一戦は終了した。

 午後9時。おっ○しゃんでラーメンを食した後、場所を時○館に変更して第二戦開始。K村は帰宅し、代わりにS井が参戦した。この時点で歌われたのはちょうど百曲。第一戦の疲れが見え隠れするが、そこは猛者の集う報道部。まだまだ歌う体力は残っていた。

 ところが午前1時頃。おや?部員たちの様子が……!
いよいよ睡魔が襲ってきたのである。他の部員が歌っている間、意識が飛びそうになる。ざわ……ざわ……!その時、K部が助っ人としてやってきた。これで5人になり、少しは余裕が出来そうだ。これはデカいぞ。しかしK部は5曲ほど歌ったかと思うと、帰り支度を始めているではないか。しかもその内の1曲は筆者がすでに歌ったライオンであり、曲をかぶらせるという始末。一同「もう帰るのかよ」K部「だって俺この後飲み会あるし」一同「ゑ?」
部員たちに帰れる喜びをまざまざと見せつけてK部は去って行った。一体何をしに来たのだろう。

 午前3時。とうとう部員たちの疲労はピークに達する。床に倒れこむK野。目が虚ろなS井。意識を失ったK田。目の前が真っ白になる筆者……。自分の歌う番が回ってくる度に生き返り、歌い終わるとまた屍と化す。「なんで……なんでこんな苦しい事……カラオケって……こんなに苦しかったっけ……?」しかし天衣無縫の極みに目覚めるはずもなく、この悲惨な状況は続いた。そして午前6時。第二戦が終わった。外に出ると朝日が眩しい。部員たちは言うなれば、地下帝国から脱出したカ○ジのよう。その後、某牛丼チェーンにて空腹を満たす。

 午前6時30分。K野とS井はバイトのため離脱。代わりにT川が登場した。そして最終局面・第三戦の戦場となるカラオケ○ック(2回目)に入ろうとしたその時である。足が前に出ない。なぜだ。身体がカラオケを拒絶している……だと……?仕方がないので我々は30分間散歩をした。早朝に仙台の街中を彷徨う3人の哀れな男子大学生の姿は、周囲の目にはどう映ったのだろうか。

散歩を終え、更にN雲と合流し、第三戦が開始。T川とN雲は問題なく歌っているが、他の2人には、最早歌える曲など残っていない。為す術もなく、うろ覚えの曲を無理矢理歌う。当然間違える。おまけに喉を酷使してきたので高音が出ず、点数が伸びない。「なんで……なんでこんな苦し(以下略)」その時、最後の助っ人T田が現れた!少しでも時間稼ぎができれば御の字だ。都合上2曲だけ歌って去って行ったが、心理的な収穫は大きい。勢いを取り戻した我々はラストスパートをかけ、遂に正午0時、長い戦いが終わった。歌った曲は合計二七二曲。K田に至っては80曲以上歌っていた。


もうカラオケなんて見たくもない。今企画に参加した誰もがそう思った。しかしその二日後、部室には「カラオケ行きてー」とのたまふK田の姿があったとかなかったとか。
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