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【ネタ記事】名古屋名物? 喫茶マウンテンの再現に挑戦

 愛知県は名古屋市にある喫茶マウンテンという店をご存じだろうか。濃尾平野の一角にひっそりと聳えるその山は特徴的なメニューが人気で、全国にファンが存在する。そう思っていた時期が筆者にもありました。
 

 ファンの1人である筆者は今までマウンテンが当たり前に日本全国で知られていると思っていたが、東北大学に来てその知名度の低さにショックを受けた。旺盛なチャレンジ精神……間違えた、美味い・安い・多い、の三拍子が揃った料理を求めて、日々さ○きのラーメンや○京餃子に舌鼓を打つトンペー生があの店を知らないなんて! しかし行けと言っても仙台から名古屋までは新幹線で片道約4時間半。容易に行き来できる距離ではない。ということで、今回は筆者がメニューの中でも特にコストパフォーマンスの良さそうなスパゲッティシリーズである甘口スパの中から2品を再現し、紹介することにした。食べて頂くのは、すっかり気の置けない仲となった報道部員の皆様。日々お世話になっている感謝も込めて、誠心誠意腕を振るわせていただきます。

 1品目は甘口バナナスパである。その特徴は鮮やかなオレンジ色をしており、バナナの芳醇な香りが漂う麺。再現するのは容易では無さそうだが、とりあえず思い付いたままにバナナの皮を出汁として水を沸騰させる。真っ黒になった皮を上げて出汁の匂いを嗅いでみるが、まるで匂いがしない。鮮やかなオレンジ色も、(これは正直期待してはいなかったが)出る気配がない。どうやらこの方法ではないようだ。もしや麺にバナナを練りこんでいるのでは……と思ったが、そうだとしたらそれはこの段階では解決し得ない問題なので、出汁もどきで乾麺を茹でながら別の手段を考える。バナナスパは具にも炒めたバナナが用いられるという徹底したバナナっぷりが発揮されている。うん、きっと麺とバナナを合わせて炒めれば香りは出るだろう。そう思っている間に麺が茹で上がったのでフライパンを熱し、油を敷く。この油の量もまた重要なのだ。甘口スパを作るにあたって油の量を妥協してはいけない。思い切りよくドボドボとキャノーラ油を投下し、バナナを炒めていく。シュワー、とまるで揚げ物のような音を立てて炒まるバナナ。徐々にあの店で嗅いだ香りが立ち始め、バナナが柔らかくなってきた。高まる期待を胸に、バナナの形が崩れ始めた頃合で茹でた麺を投入。何と、ここで問題が発生した。真っ当に茹で上がった麺が充満するバナナ臭を緩和してしまったのだ。どうやら香りの秘密の大部分は麺に隠されていたらしい。市販で妥協せずに自分で製麺すべきだったのだと悟るも時既に遅し。しかし加熱時間を伸ばすことにより、本物のレベルには届かずともそれなりの香りは復活した為、再挑戦を決意して仕上げにかかる。熱々の麺の上からチョコレートソースとホイップクリームを惜しみなく丁寧に絞り、ブラックチェリーを1つ乗せて完成だ。

 さあどなたから食べますか、と聞くと不思議な事に誰も名乗りを上げてくれない。何故だ。作っている間に「食べ物は大事にしろ」とか「俺食べたくないよ~」とか聞こえたのは幻聴では無かったというのか。と、ここでこの日は某S先輩のお誕生日であることが判明。何という偶然!おめでとうございます!それではお祝いの意味も込めて先輩、トップバッターでお味見をどうぞ!先輩は2、3分ほど感激で固まっていたが、「冷めたら不味くなってしまいますよ」の一言で弾かれたように箸を手に取った。そしてバナナパスタを一口。今度はあまりに美味し過ぎた為か数秒動かなくなり、感涙をこらえるかのように眉をしかめた。その後S先輩に勧められた部員達も同様の反応を示した為、筆者も食べてみたが、確かに中々の出来であった。しかしやはり香りは少々本物よりも薄かったため、今度は製麺から自分で工夫してみようと反省し、1品目の紹介を終わることにする。

 2品目は甘口メロンスパだ。このスパの特徴はメロンという名の通り美しい黄緑色の麺と瑞々しいメロンの香り、そして具として使われる熱々の炒めたメロン。そして欠かせないのは、皿の底面に敷かれたチョコレートソースと、メロンパンを伺わせる格子状に絞られたホイップクリームの装飾である。

 作り方は1品目とほぼ同なので省略する。しかしメロンスパの場合、香りの問題がバナナよりも深刻であった。メロンはウリ科の植物であるため、成分の多くを水が占めている。それ故に炒めていると水分が飛び、それに伴って香りも失われてしまったのだ。このままではただの果糖パスタになってしまう。後は加熱され甘味が濃縮したと思われる具のメロンに期待をかけるしか無い。

 せめて盛り付けだけでもそれらしく、とたっぷりチョコレートソースを敷いた皿にフライパンの麺を上げる。格子を本物よりも細かくすることで生クリームの量を増やして攻略難易度…ではなく美味しさへの期待値をやや高めて、完成。

 これはもう単なる甘いパスタだな、とちょっとした失望を胸に、再び21歳になり立てほやほやのS先輩へ甘口メロンスパを献上すると、先輩はバナナスパの時よりもより引きつ……幸せそうな顔で私の顔とスパを見比べた。さっきより味が薄いのであまり期待しないで下さい、と言ったところでメロンと麺を一口。続いて他の部員らも一口。筆者も一口。

 2品目を作って分かったのは、メロンは偉大であるということだ。ウリ科の植物は大体どんな調理法でも何とか食べられる味に仕上がる。チョコレートソースよりも遥かにパスタとの相性は良い。出来立て熱々のギトギト状態であるものを除いては。

 今回はやや問題点が見られたものの、どちらのメニューに関してもそれなりに名古屋の味を部員達に紹介できたように思われた。彼らの名古屋に対する印象がやや悪くなってしまったらしいのが解せないが、誕生日ケーキの代わりとしても使えるこれらのメニューを筆者は愛しているし、帰郷したらまた食べに行こうと思う。


この日の晩に皆で食べに行った○タミナラーメンがいつもの5倍ほど美味しく感じられたのはここだけの話である。
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