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【明日への提言】法学部・柳教授

現役外交官であり、現在二年間の予定で外務省から東北大学法学部・公共政策大学院に出向中の柳教授にお話を伺った。


ー外交官として今までどのようなお仕事をなさっていたのですか

 海外では英国オックスフォード大学での研修の他、ナイジェリア・オーストラリア・ロシア・カナダに勤務しました。国内ではアジアとの関係や経済関係、インテリジェンス、パブリックディプロマシー、科学や宇宙と外交との関係に関する仕事、直前には西欧課長を務めていました。

 ―外交官としてどの様な事を心がけて仕事をしていましたか

 日本の中長期的な国益を意識すると同時に、相手国の国益及び国際社会全体の公益との両立を意識していました。

 ―外交官として仕事を経験してみて、日本の立ち位置をどのように感じましたか

 日本は、戦前は強国を目指して日露戦争に勝利し、敗戦後は経済復興を目標に世界第二位の経済大国になるまで成功を収め、世界が瞠目する国でした。現在は、人間に譬えれば、腕力を競った十代やお金の羽振りの良さを見せつけた二十代、三十代は過ぎました。しかし、如何に美しく老いようかと考える年代ではまだありません。今後の四十年間、日本が何を国家目標に、どのような国家のあり方を目指すのか、大学生の皆さんが真剣に考えるべきことです。科学技術などの先進性、経験と徳をもって世界で信頼と尊敬を集める国を目指すのも一つの国の生き方だと思います。

 ―外交官の仕事でやりがいのある瞬間はどのようなときでしたか。

 一番やりがいを感じた瞬間は、日本だけでなく相手国も満足できるように交渉を行えたときですね。勝ち負け無しの外交は難しいです。実現できるように努力しています。

 ―国際社会で通用するような人材とはどのようなものですか
 私が考えるに3つあります。

第一に、世界に普遍的に通じるロジックと合理性を身に付けること。第二に、異なる文化・文明・歴史・言語を持つ多様な人々を尊重できること。第三に、相手を尊重しつつも、自分自身の考えと世界観を持つことです。

 ―現在の大学の教育に不足しているもの、要求したいものは何だと思いますか

 第一に、現在の大学の講義では、自分の頭で考え、議論をする習慣が不足しているように感じます。授業や書籍から学んだことを土台に、学生自身が批判的に考え、異なる意見にも敬意をもって耳を傾け、議論・対話をする、良質な世論の担い手となるような講義を設けていくことが求められていると思います。
 第二に、国際社会に対応していくために英語に対する意識の増進も求められていくとも思います。そのために英語の講義を増やしたり、海外の新聞や雑誌が気軽に利用できる環境を整えたりしていくことが必要です。
 第三に、文系と理系を融合していくことです。福島原発事故とその後の状況を見ても、そう強く思います。

 ―大学生活で学んでほしいことは何ですか

 1つ目は合理的・戦略的なものの見方、考え方を身につけてください。知識は時間が経過していけば失われていくものです。しかし、考え方、見方はそうではありません。  
 2つ目は、英語を身につけてください。どんな分野に進んでも、国際社会との関係は避けて通れません。高校レベルの構文と単語、日本語なまりの英語で十分です。
3つ目は政治哲学や倫理道徳などの考え方を学んでください。皆さんが社会に出た時には、唯一の回答が無い、価値観の相克する問題に直面します。政治哲学的な考え方が活かされる時がやってくるからです。

 ―最後に学生に一言お願いします

 勉強だけでなく友だちとの付き合いを大切にしてください。社会に出ると、友だちを作る機会は格段に少なくなります。学生の時にできた友だちは一生のものとなるはずです。恋愛を積極的に経験するのもいいでしょう。




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