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【特別インタビュー】三沢陽一氏 ~アガサ・クリスティー賞受賞~

 第3回アガサ・クリスティー賞に本学法学研究科出身の三沢陽一氏著「コンダクターを撃て」(「致死量未満の殺人」として出版)が選ばれた。今回の受賞で作家デビューを果たした三沢陽一氏にインタビューを行った。


―受賞おめでとうございます。ご感想をお聞かせください

 私が最初の作品を書いたのは18か19のときです。当時参加していたミステリー研究会の会誌に掲載するために書いたものです。その作品が好評でそれから作品をよく書き、応募するようにもなりました。今まで6回ほど最終選考にまで残ることができたのですが、そのすべてが最終選考止まりでした。私ほど最終選考で落ちてきた作家は他にいないでしょう。そのくらい苦い思いをしてきました。去年あたりから追い込まれ始めて、もう作家になるしか道はないなと腹をくくり、一か月に必ず一作品を完成させ応募するようにしてきました。今回の受賞作はそのうちの一つで、受賞決定の電話を受けた時は嬉しさ半分、安心半分といった心地であったのを覚えています。私は古典的なミステリーが好みで自分自身でもそのようなミステリーを書くようにしています。今回の作品も毒殺というミステリーの典型に挑戦しました。典型であるためにほとんどのトリックがやりつくされているといわれている中で、今までにないパターンを考え出しました。ミステリーの種類もさまざまに広がった現在から古典的なミステリーに立ち戻る動きを新古典派として広められたら嬉しいです。

―出版されている「致死量未満の殺人」についてお聞かせください

 担当の方との6時間以上の原稿チェック、そして出版に際して大幅な変更を行いました。こうした手直しと苦節を繰り返して完成したのが「致死量未満の殺人」です。特にタイトルの決定には頭を悩まされ、作品が完成したあともタイトルだけは確定せず、20以上の候補にあれこれと考えを巡らせました。最後は、やはり本格派ミステリーということを全面に押し出すのがよいのではないかということでこのタイトルに決定しました。

―三沢氏はどのような大学時代を過ごされたのでしょうか

 今でこそ言えることですがかなりめちゃくちゃでした。授業は友人たちと分担してやるだけであとは麻雀だなんだと遊びに遊んでいましたね。ミス研は月に一回課題図書に対して話し合う形で活動をしていて、このときの談義は確かに今の糧になっています。先輩方にミステリーの面白さを教えてもらい、一日に3~4冊読んでいたこともありました。この当時は絶版の本や入手困難な本もあって、好きな作家の本をできるだけ読みたいがためにとにかく探し回ったのもいい思い出ですし、これが一つの楽しみでもありました。一日に何冊も読むのも、ほしい本のために探し回ったのも若さ故でしたね。

―今後の目標は

 目標は3年間作家でありつづけることですね。それが叶ったら5年。さらに10年とつづき、それで生涯作家でいられたら一番です。サッカー選手や野球選手は引退すれば元サッカー選手、元野球選手と呼ばれますが、作家は元作家なんて言われません。その中で一生作家として世の記憶に残るためには作品を書き、発表し続けるしかないのです。次の作品は来年の夏までに仕上げて完成させます。今回の授賞式を題材にしたミステリーを書こうと担当に言われ、ほかのたくさんの人にぜひ自分をモデルにした人物を出してほしいと頼まれ、色々と考えています。

―最後に東北大生のみなさんに一言お願いします

 人に迷惑をかけない程度に遊びましょう。楽しみましょう。今しかできないことがたくさんあるはずですから。
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