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【研究成果】高血圧症に新治療法 ~3,4年後に認可目指す~

 本学医学部放射線診断科の高瀬圭准教授らの研究グループが、副腎の病気「原発性アルドステロン症」の新治療法を開発した。




 原発性アルドステロン症は、副腎の腫瘍などが過剰にホルモンを分泌することで血圧が上昇する病気だ。全国でおよそ4千万人いるとされる高血圧症患者の内、約1割がこれにあたるとされる。この病気には一般的な高血圧症治療薬も有効だが、場合によっては十数錠の薬を服用しなければ血圧が下がらないこともある。

 薬物投与以外の治療法には、腫瘍を手術で摘出する方法がある。本症は、左右2つある副腎の片方に腫瘍が発生する場合と、両方の副腎の過形成(*)で起こる場合があるが、手術可能なのは前者の場合に限られる。副腎は片方が失われても正常に機能するが、両方失われると必要なホルモンが不足してしまうからだ。

 現在の主流は、腹腔鏡手術と呼ばれる内視鏡を用いて患部を直接切除する方法だ。それに対して、今回高瀬准教授らが開発した治療法は、患者への負担がより少ない。具体的には、コンピュータ断層撮影(CT)画像を見ながら、副腎腫瘍に直接電極針を刺し焼き切るというものだ。すでに2例の臨床試験を行っており、どちらの場合も患者のホルモン値は正常になった。

 従来の腹腔鏡手術は、手術前後の準備や術後の回復に時間を要していたが、新たな方法では患者は3、4日の入院で済むという。高瀬准教授は「今後も臨床試験を重ね、手技時間の短縮などに尽力して3、4年後には正式な治療法として認可されたい」と話す。

 また原発性アルドステロン症患者は、本態性高血圧とよばれる原因のはっきりしない高血圧症患者に比べ、脳梗塞などの合併症を引き起こす確率が高いことが統計的に分かっている。そのため医師は本態性高血圧と診断する前に、この病気を疑うことが重要だという。

 *過形成……過剰な細胞分裂によって起こる組織の肥大。
研究成果 5047971083209406394
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