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【研究成果】世界初 ダイコンゲノム解読 ~品種改良への応用目指す~

ダイコンゲノムが世界に先駆けて解読された。本学大学院農学研究科の西尾剛教授と北柴大泰准教授が中心となり、財団法人かずさ研究所の協力を得て塩基配列を決定した。




日本のダイコンは世界でもっとも多様な変異が存在し、各地に特徴的な地方品種が存在する。また栽培面積も日本で栽培されている野菜の中では最大で、日本を代表する野菜の一つだといわれている。西尾教授らはこの特徴に着目。さらに同じアブラナ科のシロイヌナズナやハクサイのゲノムは解読が完了しており、これらの情報を参考に用いることが可能なことから、ダイコンについてゲノム解読に乗り出した。

解読の順序としてはまず次世代シーケンサーを用いてダイコンゲノムを短い大量の塩基配列に分け、それぞれを解析。次にコンピュータへ移して塩基配列を繋ぎ合わせ、SNP分析技術(注)を利用して遺伝子の染色体上における位置を特定する。この二工程を経てゲノム解読は進められた。

ダイコンはシロイヌナズナの3倍のゲノムを持っており重複した塩基配列が多数あること、また遺伝子の並びがハクサイゲノムと大きく異なることから解読は困難だった。しかし西尾教授らは事前に、発現される遺伝子について連鎖地図を構築。これを利用して全ダイコンゲノムの76%にあたる約4億塩基対を決定し、この時点で遺伝的に重要な部分をすべて解読したことを確認した。

今回の成果はダイコンの品種改良に有用な遺伝子を探し出すのにきわめて重要な手がかりとなる。たとえば辛味成分に関わる遺伝子の場所はすでに発見されており、根の太さに関わる遺伝子の場所についても現在研究が進められている。西尾教授は、「ダイコンの特性に加え、病気や環境ストレスに対する耐性などがDNA分析で解明できるようになれば、品種改良にかかる時間やコストは大幅に短縮する」と期待を寄せる。一方で、ゲノムの解読には誤読がつきものだという。「ダイコンより前にゲノムが解読されたハクサイでさえ、今でも誤った箇所が見つかっている。今後も順次塩基配列の修正を行う必要がある」と西尾教授は述べた。

(注)SNP分析技術……ゲノム中にある一塩基の違いを分析する技術。
研究成果 6892603480898739336
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