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【ニュース】町から市へ 富谷市誕生 ~市民の声、今後の市政に期待~

 黒川郡富谷町が、先月10日、単独で「富谷市」に移行した。宮城県下で14番目の市となる。1970年代に始まる宅地開発で人口が増加。今年2月の国勢調査速報値の結果で、市制移行に必要な「人口5万人」の条件を突破したことで、富谷市が誕生した。




 筆者は誕生してまもない富谷市を訪れた。新しく市民になった5万2465人(10月17日現在)の皆さんは今回の市制移行をどう思っているのだろうか。富谷市の中心部・しんまち地区を取材し、生の声を聞いた。

 市企画政策課の松原誠さん(50)は、「気を引き締めて住民の皆さまにより良いサービスを提供する」と意気込む。市制移行で担当可能な事務が拡大。今後は福祉サービス充実や都市イメージ向上が期待される。松原さんは「富谷のシティーブランドを高め、様々な形で発信していきたい」と抱負を話す。

 富谷の歴史を知るには、市役所から徒歩数分の「民俗ギャラリー」がお薦めだ。石器や農具、家具などの史料が、綿々とつながる富谷の営みを伝える。江戸時代、宿場町として発展した富谷。「『殿、利息でござる』の舞台に富谷は近い。宿場町の歴史を見てほしい」と、富谷新町宿に関わる展示が充実だ。

 富谷市しんまち地区は、奥州街道沿いの宿場町の風情を今なお残す。新町で地場産品や民芸品を販売する「富谷宿」を営む佐藤紀雄さん(76)は、「富谷を知ることが、市民の自覚につながる」と話す。生まれも育ちも富谷の佐藤さん。長く暮らしているだけに、思い入れも強い。「どういう市になるかが課題。今後は歴史、芸術などの文化面にも力を注いでほしい」と市政に期待する。

 また、富谷新町宿本陣跡にある内ケ崎酒造は創業355年で、県内最古の酒蔵。社長室の内ケ崎啓さん(28)は、市制移行を歓迎している。一方で町全体がより商業的に発展できないか、新しい観光資源を押し出した町おこしができないかを模索する。「仙台のベッドタウンに留まらず、『富谷市』になれるようにしていきたい」と前向きだ。

 市制移行を歓迎する声がある一方、様々な課題も浮き彫りになってきた。第一に、交通機関の不便さだ。現在、宮城交通の路線バスが運行するのみで公共交通機関網が十分と言えない。地下鉄南北線の延伸を求める声もある。また、図書館や子どもが広々と遊べる場所などの公共施設不足も課題の一つだ。松原さんは「『住みたくなるまち日本一』を目指して現在、企画策定の最中。一つひとつステップを踏みながら改善していきたい」と語る。

 インタビューした皆さんは「看板や住所は変わったけれど、まだピンと来ていない」のが本音という。しかし、「これからの『富谷市』に期待したい」と口をそろえる。現在、富谷市役所の市民ギャラリーには、富谷市内の小学生による「とみや未来メッセージ」が展示されている。そこには、「思いやりと助け合いの街に」、「自然を大切にする街に」、「人とのふれあいの街に」といった、希望に満ちたメッセージがつづられている。

 富谷市が船出して早くも一カ月。将来はどのような市に変わっていくだろうか。老若男女、市民の期待を背負って、富谷市は順風満帆に前へ進んでいく。
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