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川内茶会セミナー ~動物の世界の不平等を探る~

 昨年12月26日、本学川内北キャンパス川北合同研究棟にて社会動態セミナー&第2回川内茶会セミナー「不平等の起源を探る」が開かれた。この講演会は聴衆に飲み物と菓子がふるまわれ、講演中にも疑問点があれば質問できるのが特徴だ。総合研究大学院大学から沓掛展之氏が、北海道大学から瀧本彩加氏が招かれ、動物の世界における不平等について語った。




 沓掛氏は様々な動物の社会形態の差を生み出す要因の一つとして、繁殖の偏りと呼ばれる繁殖行動を行える個体の割合の違いをあげた。アリやハダカデバネズミなど限られた個体のみが子孫を残す種は繁殖の偏りが強く、多くの個体が子孫を残せる種は繁殖の偏りが弱い。沓掛氏によれば繁殖の偏りが強い種のヘルパーと呼ばれる、子育てに従事し子孫を残さない個体の存在は間接的に自分の遺伝子を残すことにつながるので種の保存に効果的であるという。そのため、ヘルパーが存在する種では遺伝子の共有度が高い個体を育てることが重要となり、一妻多夫制は取られにくくなる。

 最後に沓掛氏はサルの繁殖の偏りに影響するとされる2つの要因について説明した。1つ目の要因はメスのサルが繁殖期にはいるタイミングである。2つ目の要因は群れにいるオスの多さである。基本的には群れのリーダーであるオスが優先的に子孫を残せるが、複数のメスが同時に発情期に入る、群れに多くのオスがいるなどの状況ではリーダー以外のオスも子孫を残せる。

 続いて瀧本氏は動物の持つ不公平に対する感覚の研究を紹介した。ヒトは同じ仕事への対価が自己と他者で異なることを嫌う性質を持っている。一部の動物もこうした感覚を持つことが知られている。フサオマキザルは不公平を避ける感情が強いことが知られており、他者が自分よりも不当に高い報酬を得ていると知ると、自らに与えられる報酬を投げ捨てるなど激烈な反応を示すこともある。こうした反応を引き起こす不公平忌避は収斂進化によってもたらされたとされる。収斂進化とは似た環境に置かれた異なる種が類似した形質を獲得することをさす。瀧本氏は種間の比較と、ヒトの発達段階について調べることでヒトの抱く不公平感を解明できるかもしれないと語り講演を締めくくった。
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