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城下町支えた四ツ谷用水 ~政宗の偉業に関心高まる~

 仙台藩祖伊達政宗が遺した用水路「四ツ谷用水」。広瀬川上流、青葉区郷六のせきで取水し、縦横に巡らされた水路は総延長約44㌔に及び、城下町を潤した。現在は用水の大半が地上から姿を消したが、去年7月に放送のNHK番組「ブラタモリ」などをきっかけに四ツ谷用水への関心が高まっている。




 四ツ谷用水は防火、散水、洗濯などの生活用水や農業用水、水車動力や排水に利用され、藩政期の人々の暮らしを支えた。明治時代以後は上下水道の整備によって、徐々に生活用水としての利用は減少。昭和になり自動車が普及すると水路にふたがされ、支流や枝流は地下水路化や埋め立て化が進められた。

 現在は本流が県の工業用水道として利用されるにとどまる。遺構は取水せき(青葉区郷六)や大崎八幡宮太鼓橋の本流跡、洗い場跡(同区八幡2丁目)などわずかに残るのみだ。市民団体「四ツ谷の水を街並に!」市民の会の浦井雄治さん(74)は、「60万石の城下町を下支えした用水がなくなり、また認知度が低いのも惜しい」と話す。

 四ツ谷用水を広く市民に伝え、将来へ受け継いでいくことを目的に、7年ほど前からいくつかの市民団体や有識者らによってさまざまな取り組みがなされている。2013年3月に「四ツ谷用水再発見懇話会」が周知と継承に関する提言をまとめたほか、最近では見学ツアーが催されたり、シンポジウムが開かれたりしている。

 浦井さんが所属する市民の会では、先月11日から27日まで八幡杜の館(青葉区八幡3丁目)で「四ツ谷用水パネル展」を開催。数年前から継続して催しており、今回は市民の関心の高まりもあって期間中のべ70人が訪れた。四ツ谷用水の歴史と現在を伝える写真や資料を展示し、来場者からは水路の長さや役割の幅広さに驚きの声が聞かれたという。

 「政宗の城下町経営の大事な功績。青葉城だけでなく、四ツ谷用水にも興味を持ってほしい」。市民の会では姿を消した用水路を一部でも復活させようと署名活動を行っている。浦井さんは「復活できれば目で見て歴史を実感できる。昔のように人が集まる場を作りたい」と意気込む。

 四ツ谷用水は、「広瀬川の河岸段丘の地形を巧みに利用し、仙台の水環境を支えた」ことを理由に、土木学会によって16年度選奨土木遺産に認定された。浦井さんは「重要な遺構と認められ、政宗の業績のPRや活動のはずみになる」と笑顔だ。四ツ谷用水の周知、継承の促進を後押しするだけでなく、昨今の認知度の高まりを物語っている。

 「政宗生誕450年の今年、その事績を振り返る意味でも、四ツ谷用水に興味を持ってその大切さを再発見してほしい」と浦井さん。四ツ谷用水は、本学川内キャンパスや星陵キャンパス付近で遺構を見ることができる。この機会にぜひ。
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