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【特撮評】「仮面ライダーキバ」 2008年放送

 平成仮面ライダーシリーズは子ども向けの枠にとらわれない作劇で年齢を問わず多くの人の心をつかんできた。シリーズの中でも特に挑戦的だった作品が仮面ライダーキバだ。




 物語は主人公であるバイオリン職人の紅渡の視点で進む現代編と、渡の父でバイオリニストの紅音也の視点で進む過去編から成る。30分の放送時間の中で二つの視点を何度も切り替えるトリッキーな構成は独特の見ごたえを生み出すことに成功した。一方で本来のターゲットの子どもには分かりづらいと批判にもさらされた。現代では三角関係、過去では五角関係による昼ドラさながらの愛憎劇もキバの特徴だ。

 このような点からキバは子供に対して不親切であるとされることが多い。そのため賛否両論になりがちな作品だ。それでもキバは優れた音楽のように鑑賞した者の心を打つ。それはひとえに物語の根底に流れるいくつかのメッセージの真っすぐさによる。メッセージの中で主旋律とも呼べるものを一言で表すなら「繋がり」だ。

 渡は極度の引きこもりとして我々の前に登場する。彼は物語の中で多くの人との出会いと別離を繰り返すことで成長していく。この文章を読まれる方の多くは作品を見ていないと思われるので詳細は省くが、最終決戦及びラストシーンにおいても繋がりの大切さは描かれている。しかしそれは決して押しつけがましいものではない。だからこそメッセージは強く胸に響く。

 キバは4クール全48話という長さを差し引いてなお多くの人に勧められる作品だ。視聴して面白いと感じたならシリーズの他の作品にも目を通してみてほしい。
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