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【研究成果】ネスレ日本と共同 香りが人の行動を変える!? ~においの与える効果を実験~

 本学文学研究科心理学分野の坂井信之教授がネスレ日本と共同で「コーヒーの香りと人間の行動変容」に関する実験を日本で初めて実施した。実験結果をまとめた動画がYouTubeのネスレ日本公式チャンネルで公開されている。今回の実験とにおいが人間に与える影響について坂井教授に話を伺った。




 実験は、まず道端にコーヒーショップの屋台を設置する。そして人が通りかかったらコーヒーのコップを落とし、コップを拾ってくれる人の割合をコーヒーのにおいを香らせた状態と、特に何もしない状態で比較するというもの。コーヒーの香り無しの状態では14%の人がコップ拾ったのに対し、コーヒーの香りがある状態では約3倍の人がコップを拾った。

 今回坂井教授がネスレ日本と共同で行った実験にはアメリカで行われた先行実験がある。その内容は、とあるショッピングモールで道行く人々に何かお願いをしたとき、いい香りのする店(お菓子屋やパン屋)の前でお願いをした方がお願いを聞いてくれる人の割合が増えた、というもの。

 においは元々人間の持つ機能の中では動物的なものだと考えられており、あまり注目されていなかった。しかし、においが人の行動に影響を与えるのは前述の先行実験からも推測することができる。人は無意識下でさまざまなにおいを感じ取っていることが分かる。

 また、においは人々のコミュニケーションにおいて大きな役割を持っていると考えられている。「空気を読む」という言葉を耳にすることはよくあるだろう。この「空気を読む」という行為はその場にいる人が無意識で発するにおいを感じ取るということであり、においが人と人との関係にとって重要なものに成り得ると考えられている。

 「日本は世界でもにおいを嫌う傾向がある数少ない国」と坂井教授。日本の人々は消臭剤を使い、自分のにおいを無くそうと努める。コミュニケーションの道具に成り得るにおいを無くすということは、他人との人間関係を取りにくくなることにもつながる。人の発するにおいの持つ役割をしっかりと考えることが必要だ。

 日本でにおいの研究を行っている機関は少ない。「においを研究することは人間の生活の質を上げることにもつながる」と坂井教授は語る。例えば、人間が感じる食べ物の味はにおいによってもたらされているものだという。そこで、においの研究が進めば食べ物のおいしさをコントロールすることができるというのだ。日頃嗅いでいるにおいに注目してみると新しい発見があるかもしれない。
研究成果 9210840102618423095
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