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西日本豪雨被災地ルポ ~崩落した路肩、床覆う泥…~

 今年は各地で気象災害が相次いでいる。大阪北部地震や全国での記録的猛暑があったほか、台風21号による暴風と高潮、北海道胆振東部地震も記憶に新しい。各災害で被災された方々に心からお見舞い申し上げる。




 これだけでも気が滅入るほどだが、忘れてはならない災害がもう一つある。「西日本豪雨」と呼ばれることも多い「平成30年7月豪雨」だ。発災から2週間ほどたった7月下旬、筆者は本学が派遣するボランティアの先遣隊として広島県で2日間活動した。その様子をまとめるとともに、本学の支援方針を聞いた。

 筆者ら先遣隊は、山陽新幹線で東広島駅に到着後、東広島市と呉市安浦地区の被災状況を視察。その後は広島大の学生と現状について情報交換し、初日は被災地の現状把握に努めることとなった。

 特に、車窓から眺めた被災地の姿は悲惨としか言いようがなかった。みぞおちから胸にかけての高さまで浸水したとみられる跡や橋の損傷、道路ののり面や路肩の崩落がいたるところで見られた。山の斜面が崩れる様子も頻繁に目にした。

 7年前の東日本大震災では津波の被害が大きかったが、西日本豪雨は土砂崩れや土石流が主だった。そのため、東日本大震災の時と比べると、何とか形をとどめている家が多い。しかし、この事実がかえって被災前の街の姿をありありと浮かびあげた。宮城県沿岸部出身で津波被害の様子も見てきた筆者にとって、水に浸かり機能不全となった街の姿が胸に刺さりつらかった。

 そして翌日は、その安浦地区でボランティア活動を行った。広島大で募集されていたボランティアの学生とともに活動することとなった。中には複数回活動に参加してきた学生もおり、頭が下がる。

 避難所に設けられたボランティアセンターは避難してきた住民が中心となって仕切っており、物資もそろっていた。そこから筆者が支援先として向かったのは、中心部から数キロ離れた集落にある農家。納屋に流れ込んだ泥をかき出す作業を、筆者を含めた7人で行った。

 納屋に入ると、十数センチほどの泥が床を覆っていた。屋内だと水分が蒸発せずに泥に大量に含まれるため重い。4時間近くの作業では、大方の泥を取り除くのが精いっぱいだった。

 住人に話を聞くと、ボランティアが来たのは被災から2週間ほどのこの日が初めてだそうだ。見渡せば近くの用水路には、山から流れ着いたとみられる砂や流木が折り重なっている。郊外に出ると手付かずの場所が大量にあるのだと愕然とした。想像以上にマンパワーが必要なのが西日本豪雨なのだろう。

 しかし、この農家の住人は前向きだった。「安浦の里芋はおいしいよ! いつか食べてみてね」と作業終盤に声をかけられた。この一言に少し気持ちが救われた。広島の人たちならきっと復興を成し遂げることができる。そんな実感を持てた気がした。泥のかき出し活動後は、広島大との話し合いを行った後、広島県を離れた。

 その後も本学では、西日本豪雨の被災地にボランティアとして学生を派遣し支援を続けている。今後の支援方針について、本学課外・ボランティア活動支援センターの江口怜助教は「資金面の問題もあるができれば来月にも広島県に行きたい。東北から派遣する意義を考え、専門的な部分を生かせれば」と語った。また本学は、来年度在籍する学生で西日本豪雨の被災者に対し、授業料や入試受験料の減免の処置を受け付けることを発表している。

 東日本大震災を経験した東北から我々が被災者にできることは何か思いを巡らせ、被災地に寄り添うことが必要だ。今年発生した気象災害の被災地の復興を切に願う。

 なお、現在の被災地の状況や、本学がこれまでに行った支援についてまとめた記事を弊部HPにて公開する。
ボランティア活動 3805372171151586020
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