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【ネタ記事】勝負!脱衣かるた合戦 ~熱き漢たちの寒き戦い~

 筆者は閉塞感にさいなまれていた。淡々と授業を受け、迫りくるテストに怯える日々。家に帰れば檻に入れられた動物のようにこたつにこもり、寒い夜を耐え忍ぶ……。ああ、開放的な気分に浸りたい。その時、ふと頭に子どもの頃、川辺を裸で遊びまわった思い出がよみがえった。そうか、これだ。「裸」だ――。




 そうと決まれば早速全裸になってキャンパスを走り回ろう、となるほど筆者は世間知らずではない。筆者は今年で20歳。いきなり世間に逮捕という形で名を知らしめるのもやぶさかではないが、やはり将来は大切にしたい。裸を正当化できる理由が必要だ。気づけば時分は正月過ぎ。正月といえばお餅、お年玉、かるた……。筆者に2017万ボルトの電撃が走る。「そうだ! 脱衣かるただ!」。

 エジソンもテスラもノーベルも、こりゃ参ったと白旗を上げる大発明「脱衣かるた」。ルールは簡単。相手にかるたを1枚とられる、もしくは自分がお手付きをするごとに衣服を1枚脱ぐ。それだけだ。「こんな奴が編集長なのか……」と呆れる後輩たちをよそに、副編集長Kを誘うとKはノリノリで快諾。これには後輩たち、呆れ返ってブリッジしそうな勢いである。

 決戦の日は偶然にもセンター試験1日目であった。マイナス1・3度の外気を感じるために部室の窓とドアを全開にする。かるたは全部で44枚あるため、すぐに裸にならないように着込めるだけ着込んできた我々。偶然居合わせた女子部員Nに読み手を任せ、変態かるた合戦の火蓋が切られた。

 序盤、両者一歩も譲らない展開が続く。今回使用したかるたは群馬県人にはなじみ深い「上毛かるた」。どちらもまだ服に余裕があるため、「田山花袋って群馬出身なんだあ」「群馬県ってやっぱ鶴には見えないわ」などと純粋にかるたを楽しむ。

 異変が起きたのは25目あたり。Kに連続して札を取られ、半袖1枚となった。あと1枚で合法的に裸になれる。ここまでは裸になるためにわざとKに取らせていたといっても過言ではない。「雷と空風義理人情」の札を取られ、上裸となったのも束の間、窓から北風小僧が「こんにちは」と筆者の乳首をかすめていった。

 「あぁぁぁぁぁあ!」寒いというより痛い。脇腹が、へそが、乳首が各々絶叫しているようだ。後輩女子Nに冷めた目で見られる羞恥心と、裸になった開放感が混ぜ合わされた心地に戸惑いながら、なんとか札をとりKを裸にする。

 受験生がセンター試験に挑んでいるさなか、部室で裸になる2人。両者の絶叫とNのゆったりとした札を読む声だけが響く。こんな空間を叙情的に表現する力は残念ながら筆者にはない。かの川端康成に頼んでも「やりとうない」と突っぱねられてしまうだろう。

 最終的にKより早く裸になってしまった筆者が1敗、取った札の枚数が少ないKが1敗となり両者引き分けという結果になった。裸になる開放感はもちろんのこと、普段はできない絶叫や、日常の喧騒を忘れてかるたを楽しむ解放感を味わうことができた。これを機に報道部、そして日本、さらには世界で「脱衣かるた」がメジャー競技となることを願う。
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