【深田歩の密着!学食バックヤード】~第4弾 麺処えんじ編~
次々と注文が入るバックヤードで、動いているのは4名のみ。9月25日にオープンした「麺処 えんじ」(青葉山東キャンパス)だ。「えんじつけ麺」「えんじまぜそば」の2種類を提供する同店も、東北大生協が運営している。オープンの背景と現状を聞いた。
(深田歩)
ピーク時には二つのお盆を同時に運ぶことも |
一見、濃い赤色を想像させるその店名の由来は工学部の「エンジニアリング」。今年度は対面授業が増加し、同キャンパス内で最大規模のあおば食堂が過度に混雑するようになった。緩和のために新店舗の構想が生まれ、後期授業のスタートに先駆けてオープンした。コロナ禍前に別業者が運営していたレストランの設備を流用したことで、構想から開店までのスピーディな流れを実現した。
新店舗のメニュー検討が始まったのは開店の約4カ月前から。「工学部は男子学生の割合が大きいので、がっつり食べられるメニューを」と、中華そばの提供が決まった。店内仕込みのチャーシューや太く量の多い麺を使用することで、他の食堂で提供するラーメンとの差別化を図る。
あおば食堂で特に利用者の多かった月曜日と金曜日に絞って営業しているが、営業日のたびに長蛇の列ができ、「うれしい悲鳴」とスタッフは話す。1日2時間の営業時間内に、多くて180食程度の注文があり、トッピングの都合で数量限定の「えんじまぜそば」は売り切れることもしばしば。客数がピークに到達する午後12時10分ころには、スタッフが提供口と調理場をせわしなく往復する姿がみられた。
チャーシューは、真空パックで味を染み込ませる |
同時刻、提供待ちの食券は30枚程度。4人が息つく間もなく働いて、それでも提供はスムーズにはいかない。人手を増やすと人件費がかかり、「費用を考えると今の値段と人数で続ける必要がある」とスタッフ。中華そばの値段を抑えるために苦労を強いられるが、「せっかくオープンからたくさんの人に来てもらっているので、これからも満足させ続けられるように努力する」と笑顔を見せた。
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前回の理薬食堂(青葉山北キャンパス)から続けて、開店から間もない店舗に取材した。東北大生協は「えんじ」に加え、先月からキッチンカーの営業やBee ARENA Café(川内北キャンパス)の営業時間延長に乗り出す。今年の初めには大学生協アプリによるバーコード決済の導入もあり、この1年で学食を巡る環境は大きく変化している。
材料、調理方法、あるいは人の思い。私たちが利用するメニューやサービスの裏には、何が隠れているだろうか。バーコードをかざすその瞬間だけでも目線を上げて、スタッフと、その奥の厨房をのぞいてみないか。