【先生、質問です!】(4) 生命科学研究科・倉永英里奈教授 ~サナギの研究に取り組む~
https://ton-press.blogspot.com/2019/12/sensei4.html?m=0
「先生、質問です!」とは、本学の研究者が日頃何を考えているか、またどのような思いで日々学生に向き合っているかに迫る企画だ。第4回を飾るのは、本学大学院生命科学研究科の倉永英里奈教授。一昨年全国的に注目を集めた本学理学部のPR動画に登場した教授といえば覚えのある人もいるだろう。このような倉永教授の私生活や研究について話を伺った。
―PR動画の裏話を
まず、あのPR動画のオファーが来たときに、やるからには全力でやるしかないと思いました。ここで一番困ったことは、「どういう服を着ればよいのか」ということでした。例えば男性だとスーツやカッターシャツ、スラックスなどを着用すれば一発で格好が決まります。しかし私は「通年で見られるような服」を着るようお願いされたので、少し悩みました。そこで広報の方にどんな服を着たらいいかと質問して、モデルさんが服を着た写真をいくつか提案してもらいました。その写真メールをもらったのは神戸での学会中で、出張から戻ったらすぐに撮影だったので、神戸でたくさん服を買ったのはちょっと大変でした。
―好きな動物について
猫です。私は特に今保護猫の茶虎と錆び猫を1匹ずつ飼っていて、トイレに失敗しないので犬派から猫派になりそうですね。また、体表の模様によって猫の性格がちがったりするそうです。ちなみに体表の模様は、特にX染色体の遺伝子によって変わるんですよ。学部の講義では、この猫の毛色のことを分子生物学の例の一つとして使っています。
―研究について
生き物のサナギの中の組織形成について研究しています。例えば、イモムシはサナギにこもったあとアゲハチョウになります。このとき、こもっている間は全く養分をとっていないのにもかかわらず、緑色のうねうねした虫からきれいなはねをもったチョウに変わりますよね。そのメカニズムがどのようなものかを研究しています。これをヒトに置き換えると、最初が受精卵だったものがお母さんのお腹の中で私たちの体になっていくまでのお話であり、サナギはその原始的な型とも考えられます。
―どのサナギを、どのように解析しているか
実際には、ショウジョウバエのサナギの中をライブイメージング(生きている細胞を緑色蛍光タンパク質で可視化して観察する手法)で追っています。ヒトには右利き左利きがあるように、ショウジョウバエも体の構造がアシンメトリーになっていて、それい従うのがサナギの中でのお尻の部分の回転です。このときショウジョウバエのお尻の回転が必ず時計回りで行われるのですが、どういう方法で時計回りに回転するのか、ということを、お尻の周りのサナギの下部の細胞のライブイメージングと数理モデルで解析していました。このとき、物理学の研究者と共同で研究したのですが、生物が物理学的に考えられるようになってきて、また新しい生き物の形づくりの原理が分かるようになってきたと思います。
―本学学生の印象は
とても真面目だなあと思います。今年度私は1限の授業も二つ担当しているのですが、ほとんどの学生さんが遅刻せず、時間通りに始められます。また、4年前、本学に着任する前に集中講義をやりました。集中講義は、やる方も聞く方も疲れます。だから休み時間、疲れた様子でいるだろうなと思いながら講義を担当していた学生さんを見たら、授業の復習を学生同士で確認し合っていました。それまでも、いくつかの大学で講義を担当してきましたが、こんなことをしている学生を初めて見て、なんて真面目で素敵な学生たちだろうと衝撃を受けました。一方、真面目であるということについて、個性がない、面白くないと言われることがあるけれども、私は肯定的に捉えています。真面目で素直な学生さんだったらいくらでも成長することができるので、もし研究者になる意欲があるのであれば、この人たちはすごくいい研究者になれるだろうなあと思います。
―学生にメッセージを
私が好きな『論語』の言葉で、「これを知る者はこれを好む者にしかず。これを好む者はこれを楽しむ者にしかず」という言葉があります。つまり、「あるもの」が好きだから勉強するだけでなく、「あるもの」を楽しむことが一番いいと思います。何が楽しいかを悩んでもいいと思います。しかし、その「あるもの」を決めるときに自分が後悔しないように、人のせいにしないように自分で決める。一つじゃなくてもいいので、何か見つけていけるといいですね。このことが、普段の生活や研究していること、どれもこれも全てが結びついていくと思います。だからこそ、自分が納得いくものについて、追求していくことがいいと思いますね。
―PR動画の裏話を
まず、あのPR動画のオファーが来たときに、やるからには全力でやるしかないと思いました。ここで一番困ったことは、「どういう服を着ればよいのか」ということでした。例えば男性だとスーツやカッターシャツ、スラックスなどを着用すれば一発で格好が決まります。しかし私は「通年で見られるような服」を着るようお願いされたので、少し悩みました。そこで広報の方にどんな服を着たらいいかと質問して、モデルさんが服を着た写真をいくつか提案してもらいました。その写真メールをもらったのは神戸での学会中で、出張から戻ったらすぐに撮影だったので、神戸でたくさん服を買ったのはちょっと大変でした。
―好きな動物について
猫です。私は特に今保護猫の茶虎と錆び猫を1匹ずつ飼っていて、トイレに失敗しないので犬派から猫派になりそうですね。また、体表の模様によって猫の性格がちがったりするそうです。ちなみに体表の模様は、特にX染色体の遺伝子によって変わるんですよ。学部の講義では、この猫の毛色のことを分子生物学の例の一つとして使っています。
―研究について
生き物のサナギの中の組織形成について研究しています。例えば、イモムシはサナギにこもったあとアゲハチョウになります。このとき、こもっている間は全く養分をとっていないのにもかかわらず、緑色のうねうねした虫からきれいなはねをもったチョウに変わりますよね。そのメカニズムがどのようなものかを研究しています。これをヒトに置き換えると、最初が受精卵だったものがお母さんのお腹の中で私たちの体になっていくまでのお話であり、サナギはその原始的な型とも考えられます。
―どのサナギを、どのように解析しているか
実際には、ショウジョウバエのサナギの中をライブイメージング(生きている細胞を緑色蛍光タンパク質で可視化して観察する手法)で追っています。ヒトには右利き左利きがあるように、ショウジョウバエも体の構造がアシンメトリーになっていて、それい従うのがサナギの中でのお尻の部分の回転です。このときショウジョウバエのお尻の回転が必ず時計回りで行われるのですが、どういう方法で時計回りに回転するのか、ということを、お尻の周りのサナギの下部の細胞のライブイメージングと数理モデルで解析していました。このとき、物理学の研究者と共同で研究したのですが、生物が物理学的に考えられるようになってきて、また新しい生き物の形づくりの原理が分かるようになってきたと思います。
―本学学生の印象は
とても真面目だなあと思います。今年度私は1限の授業も二つ担当しているのですが、ほとんどの学生さんが遅刻せず、時間通りに始められます。また、4年前、本学に着任する前に集中講義をやりました。集中講義は、やる方も聞く方も疲れます。だから休み時間、疲れた様子でいるだろうなと思いながら講義を担当していた学生さんを見たら、授業の復習を学生同士で確認し合っていました。それまでも、いくつかの大学で講義を担当してきましたが、こんなことをしている学生を初めて見て、なんて真面目で素敵な学生たちだろうと衝撃を受けました。一方、真面目であるということについて、個性がない、面白くないと言われることがあるけれども、私は肯定的に捉えています。真面目で素直な学生さんだったらいくらでも成長することができるので、もし研究者になる意欲があるのであれば、この人たちはすごくいい研究者になれるだろうなあと思います。
―学生にメッセージを
私が好きな『論語』の言葉で、「これを知る者はこれを好む者にしかず。これを好む者はこれを楽しむ者にしかず」という言葉があります。つまり、「あるもの」が好きだから勉強するだけでなく、「あるもの」を楽しむことが一番いいと思います。何が楽しいかを悩んでもいいと思います。しかし、その「あるもの」を決めるときに自分が後悔しないように、人のせいにしないように自分で決める。一つじゃなくてもいいので、何か見つけていけるといいですね。このことが、普段の生活や研究していること、どれもこれも全てが結びついていくと思います。だからこそ、自分が納得いくものについて、追求していくことがいいと思いますね。