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【第73回東北大学祭】密着事務局 事務局員3日間の奮闘

 第73回東北大学祭が成功裏に幕を閉じたその陰には、大学祭を支える多くの事務局員たちの姿があった。ステージで輝くのが主役ならば、彼らはいわば「裏方」―。そんな彼らの怒涛の3日間に密着取材し、その奮闘を追った。(鈴木優梨子)


 「いつも何かしらトラブってます」。大学祭初日の朝、事務局本部へ取材のあいさつに行くと、開口一番にこう言われた。大学祭事務局で運営局長を務める遠藤瑞歩さん(工・2)は、事務局本部の責任者として朝早くから忙しさの渦中にいた。


 午前9時半を過ぎた頃、さっそく問題が発生した。事前の取り決めで、厚生会館横の通路から野外ステージへの通り抜けは禁止していた。しかし、周知不足のせいか来場者の通り抜けが多発。対応を迫られることとなった。


 本部局員らによる協議の結果、通路の通り抜け解禁を正式に決定。午前10時ごろから、一時的な措置として通路脇に机を置いて簡易入場ゲートを開設し、来場者の再入場のみを認めるようにした。


 2日目以降は本部も少し落ち着き、遠藤さんいわく「何とか回っている状態」に。初日に急ごしらえで設置した簡易入場ゲートも、2日目からはテントを張り、来場者の再入場だけでなく、入場の受け付けも可能とした。


大学祭開催中も作業を続ける事務局員


 それでも「いつも何かしらトラブっている」状況が変わることはない。本部局員には、刻一刻と変わる状況への臨機応変な対応が求められた。常に忙しく動き回る彼らだが、一方でその顔には、大学祭をつくり上げる喜びがあふれていた。


 大学祭の対面開催が正式に決まったのは9月末だという。それ以前も準備を進めてはいたが、高いモチベーションを維持するのは難しかった。


 「短い期間で急いで準備したので、『よく形になったな』と思います」と遠藤さんは振り返る。そして、人でにぎわう野外ステージの方へ視線を移すと、万感の思いがあふれた。「ステージがあって、テントが並んで、人がたくさんいて。こういう光景を、私はずっと見たかったんです」


 大学祭もいよいよ終盤というところで、遠藤さんのもとに一本の電話が入った。電話を受けた遠藤さんの顔に緊張が走る。聞くと、グランドフィナーレの出演者が予定の時間よりも早く控え室に到着してしまい、現場が混乱しているという。


 電話でのやり取りや局員同士の話し合いで、本部はにわかに慌ただしくなった。しかし最後には、「解決したので大丈夫です」と遠藤さんが笑顔を見せ、本部は落ち着きを取り戻した。


 3日間を通して、事務局員たちの気が休まる瞬間はなかっただろう。「裏方」の彼らは、だがこれ以上ないほど輝いていた。

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