【部説】対面授業とオンライン授業 授業内容に適切な授業形式を
本学では現在、新型コロナウイルス感染症の拡大を防ぐため、キャンパスで行われる対面授業とオンライン授業を併用した授業が実施されている。オンライン授業には主に二つの方式がある。講義動画やスライドを視聴したり、資料を読んだりするオンデマンド方式と、ZoomやGoogle Meetなどのオンライン会議ツールを利用して講義を行う、リアルタイム方式だ。週ごとに授業形式を変えたり、キャンパスでの対面授業とオンラインでの動画配信を同時に行ったりする場合もある。
本学は今年度の授業形式について「各授業科目で学修する内容や特性に合わせ、対面授業とオンライン授業を効果的に併用した授業を実施していく」と昨年12月に発表した。しかし、いまだオンライン授業の利点や欠点を踏まえた、効果的な授業形式がとられているとは言い難いものもある。学生が現在の授業形式に十分満足しているとは言えない。
オンライン授業は、時間割にとらわれず自分の都合の良い時間に受講することができる。動画の早送りや一時停止もでき、自分のペースで学習が進められる。一方で、オンライン授業ならではの配慮や工夫も必要だ。
オンライン授業は一人で受講するため、緊張感が無く集中力が持続しにくい。さらに、対面授業のような時間の制約が無く、講義動画が90分を超える場合もある。教授の雑談やプリントを配布する時間が無いことから、対面授業と比較して授業進度が速くなりがちだという懸念も挙げられる。また、他の受講生の様子が見えないことも不安要素の一つだ。分からないところをその場で隣の人に聞くこともできない。学生の不安に寄り添ったサポートや、過度な負担をかけない配慮が求められる。
例えば、授業中に学生に質問を投げかけたり、定期的に小テストを行ったりすることで、学生が主体的に授業に参加することができる。また、フォームや授業の場を用いて質問しやすい環境を作ることも、オンライン授業では特に重要だろう。
授業形式ごとのメリットとデメリットを生かした授業を行うことも徹底してもらいたい。現在、実習や実験、フィールドワークなどを中心に対面授業が行われている。これらに加え、ディスカッションやグループワーク、演習も対面が望ましいといえる。ZoomやGoogle Meetを用いた話し合いは、円滑に進みにくいからだ。相手の顔が見えなかったり、通信環境が悪いと相手の声が聞こえにくかったりするほか、会話の間合いが計りにくく、発言がしにくいという難点もある。演習では、周囲の受講生と分からないところを教え合うことが理解の助けとなる。
一方で、解説や説明が主な講義では、必ずしも対面授業にする必要はない。むしろ、講義動画を残すことで後から何度も復習できたり、講義資料の共有がスムーズにできたりするという利点がある。対面授業の数を増やすだけではなく、それぞれの授業に合った効果的な授業形式を選択してほしい。
対面授業とオンライン授業の併用が進む本学だが、いまだそれぞれの利点を生かしきれていない場面がある。今後、学生同士の交流を妨げることなく、効果的な学習を進めていくためにも、オンライン授業での学生のサポートや、より授業の特性に合わせた授業形式にすることが必要となってくるだろう。