【一言居士】ー2022年6月ー
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「人は女に生まれない。女になるのだ」。フランスの哲学者であるシモーヌ・ド・ボーヴォワールの著書、『第二の性』の有名な一節だ▼「女性らしさ」は持って生まれるものではなく、社会の中で形成されていくものだと主張し、男性より劣った「第二の性」とされていた女性の解放を訴えた。この問題提起から約70年たった今でも、男女が平等に活躍する社会は暗中模索の状態だ▼今年4月、本学工学研究科教授の女性限定公募が始まった。現在2人の女性教授を7人に増やし、女性の割合を高めようという狙いだ▼女性の採用枠を増やすことが、根本的な問題解決につながるか。そもそも理系に進学する女性は少ない。「男子は数学、女子は国語が得意」「男性は医者、女性は看護師」といった我々に無意識にはびこるイメージが、女子を理系から遠ざけてはいまいか▼ボーヴォワールは、哲学者サルトルと互いの自由恋愛を認めた、異例の契約結婚でも有名だ。慣例や風習にとらわれない自らの生き様をもって、現代の女性にエールを送っている。
(文責・藤井)