【ニュース】仙台城大手門 金具類や新資料 全学教育講義の実習で発見
1945年の仙台空襲によって焼失した仙台城大手門の一部と見られる金具類が仙台市内で発見、実物であると確認された。金具類は、昨年度の全学教育講義「学問論演習」内での歴史資料レスキューの実習の一環として行われた、故・梅津幸次郎氏のコレクションに関する調査で発見。今年5月には、実習に参加した学生により仙台城大手門の装飾に関する新史料も見つかり、復元に大きく貢献した。この発見について、授業を開講した、本学災害科学国際研究所の佐藤大介准教授に話を聞いた。
仙台城大手門は仙台城全体の正門となる建物で、藩主の出入りや特定の儀式のときのみ開門された特別な門。仙台藩の象徴としての役割も担った。江戸時代の城郭では最大級の規模で、旧国宝に指定されていた。
今回発見された金具類は、釘かくしや饅頭金具、六葉金具など全16点。全て大手門のものだと確認された。新史料は菊の紋の拓本とその説明からなる。説明には、明治20年代末に大手門の解体が検討されたが、当時の第二師団長の働きかけで解体を免れ、新たに菊と桐の紋を付すことになったことなどが記されていた。紋には権威を示す狙いがあったと考えられる。
梅津氏は仙台市の商家に生まれ、1920年代から50年代に活躍した収集家・郷土史家。53年を最後にそのコレクションの所在は不明となっていたが、本学災害科学国際研究所と協力関係にあった、NPO法人宮城歴史資料保全ネットワークの市民ボランティアが、佐藤准教授に相談したことをきっかけに再発見された。その数は約3万5000点で、戦災や東日本大震災で多くの史料が失われた地域に関するものも含む。デジタル化による活用が目指されている。
7月20日~8月25日に仙臺緑彩館で行われた、金具類などの展示とあわせ、古文書の記録作業を体験するイベントも開催された。佐藤准教授は「古文書の保全活動は専門家だけでは完結せず、市民との協働や信頼関係の構築が必要不可欠だ」として、市民参加型の保全活動のさらなる展開に向け意欲を見せた。