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【書評】『数学の自由性』 高木貞治 梅雨の書評祭り 1/4 

 寺田寅彦や湯川秀樹など、エッセイでも名をはせた科学者は多くいる。明治から戦前期にかけて活躍した数学者、高木貞治もまさにその一人だ。



 高木は類体の研究などで大きな業績を残し、日本の数学界や数学教育の発展にも尽力した人物である。本書では、高木の教育観や科学観、あるいは当時の数学の動向などを語った著作や講義がまとめられている。



 特徴的なのが、高木独特の茶目っ気ある筆致。OとNという架空の2人が、微分学と積分学を互いに隣接している神奈川県と静岡県にそれぞれ例えて会話をするところなどは、思わずくすりと笑ってしまう工夫が施されている。



 他方、生活に身近な内容と絡めながら数学への真摯な視点もはっきり見て取れる。やや高度な知識を用いた内容も登場するが、そこにも高木の価値観を垣間見ることができる。



 一人の数学者が何を思ったか、読者が得られる視座は、他の著名な科学者の言葉と決して引けを取らない。



(渡辺湘悟)



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