【とんぺー生の台所―⑦】「佐々久」
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「仙台」「デカ盛り」と検索すると、必ずヒットするこちらのお店。飲食店の口コミ情報を集めたサイト「食べログ」を見ると、「ザーカイ天定食は小盛りでも食べきるのがやっと」「あまりにも大きい唐揚げの愛称は手榴弾」とのコメントが。これは行ってみるしかない。
とんぺー生の台所、最終回は、八木山に位置する老舗の定食屋「佐々久」を訪れた。特筆すべきは何と言ってもその量。鶏もも肉の天ぷらの「ザーカイ天定食」(900円:写真)を頼むと、あまりの盛り具合に驚愕した。高さ15㎝ほどに積まれた鶏の天ぷら(この日は20個)は今にも崩れそう。衣だけでも卵3個を使うというからすごい。天ぷらを支える土台が如き野菜の量も尋常ではない。さらに、つやつやの白米は丼級。果たして食べきれるだろうか。実際に揚げたてアツアツの天ぷらを口にすると、サクッと軽く、柔らかい。天つゆをくぐらせても薄味で、いくらでも食べられそうだ。途中で味に飽きさせないよう、付け合せの真っ赤なパスタは激辛。これがまた良いアクセントになっている。
手榴弾と名高い「唐揚げ」は、子供の握りこぶし大。20分かけてゆっくりと火を通し、外はカリッと、中はジューシーに仕上げている。「唐揚げ定食(900円)」にはこれが5個もついてくるから、満腹にならない人はいないはずだ。しかし本当に量が多いので、初心者は「小盛(700円)」で注文することをお勧めする。メインのメニューは「ザーカイ天」と「唐揚げ」のみだが、美味いものをお腹いっぱい食べられるのは至福。ここはまさしく、学生の「台所」にふさわしい。
出店前は国分町の中華料理店で修業していたご主人。昭和49年の創業時から今に至るまで、夫婦2人で厨房に立ち続けてきた。量が多い理由は「若い頃、自分たちがよく食べたから」なのだとか。初めは中華料理店としてラーメンや炒飯なども提供し、出前まで行っていたが、客の志向の変化や体力の衰えなどの理由で徐々にメニューを削減。最終的に残ったのが、「ザーカイ天」と「唐揚げ」だった。時代の変遷を乗り越えてきた2つのメニューには、並々ならぬ歴史が凝縮されている。
夫婦で味を守り続けてもうすぐ40年。これからも学生と共に、その歴史を刻んでゆく。