【とんぺー生の台所―②】「さわき」
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川内の閑静な住宅街に、光を投げかける一軒の食堂がある。にぎやかな笑い声に惹かれて緑色ののれんをくぐると、まず出迎えてくれるのはお馴染みのニンニク臭。何とも食欲が刺激される。東北大生御用達の飲食店を紹介していくシリーズ、とんぺー生の台所。今回は、東北大生に言わずと知れた名店「さわき」を紹介する。
店内に立ち込めるニンニク臭は看板メニューである「スタミナラーメン(550円):写真」によるものだ。客の大半が注文するというこの人気ラーメンは、とにかく個性的。大量のニンニクと唐辛子で赤みがかったスープの上に、ラーメンには珍しい白菜の野菜炒めが鎮座。さらに、ほうれん草が練りこまれた麺は緑色に染まっている。辛い、くさい、だからこそ旨い。感覚にはたらきかけるこのラーメンは、数々の東北大生をとりこにしてきた。
「すべてはスタミナラーメンから始まりました」。そう語るオーナーは29年前、出店を決意した後1週間でスタミナラーメンを考案。近所の子供たちに試食を依頼して改良を重ねた。八木山店(現在は閉店)にて旗を挙げた当時、メニューはスタミナラーメンのみだった。「私は料理を習ったことがなく、まったくの素人。だからこそ、お客さんの意見を積極的に取り入れました」と語るように、客の要望に合わせてメニュー数を増やしていった。
カレーや丼もの、お好み焼きなど、ジャンルを問わず万人受けするメニューが並ぶ。うれしいことに、そのどれもがボリューム満点。定食にはサラダや冷奴といった小鉢が付き、栄養バランスにも配慮がなされている。価格を低く抑えながらも随所に工夫を凝らす。大阪出身であるオーナーの、商人の心意気だ。
同店のモットーは「与えられた条件でベストを尽くす」こと。当然、使う材料に妥協はしない。ラーメンに用いるニンニクは国内産に限定。産地も青森、香川など、その季節に最適な場所を選ぶ。さらに、2番人気の「土手鍋定食」には質の高い京味噌を使用するという徹底ぶりだ。それでもオーナーは現状に満足していないという。「私は自分の料理に自信を持っていません。だからこそ改良を続けるし、お客さんの声に耳を傾けます」。
お客と共に日々進化を続けるさわき。オーナーの飽くなき探求心に、果てはない。