2020年合格体験記 ~理学部前期一般入試~
大学受験に向けて、何をすべきか。どんな勉強をしたら、合格できるのか。おそらく、ほとんどの受験生が抱えている悩みだろう。特に今年度は、新型コロナウイルス感染症の流行も重なり、勉強面や健康面で、不安に過ごしている受験生は多いはずだ。そんな受験生たちに筆者が紹介したいのは、特別な勉強法や有用な参考書ではない。端的に言えば、「基礎を固めることの重要性」だ。
何を今さら、と思う読者もいるだろう。しかし、筆者がこの話をするのは、この気づきこそが筆者の「合格体験」に他ならないからだ。受験生にはぜひ、この言葉の真価に気づいてほしい。
筆者が受験勉強を本格的に始めたのは高校3年の夏であった。部活の引退が遅かったため、他の生徒に比べてやや遅れ気味に「受験生」を始めた。初めは何をやればいいのか見当もつかず、夏休みは、周りに合わせて学校で購入した数学や英語の難易度の高い問題集に集中的に取り組んだ。しかし、これが上手くいかなかった。解けない問題ばかりで、途中でやる気を失ってしまったのだ。
そのときの筆者に足りなかったのは、圧倒的な「基礎力」だった。難しい問題が解けない原因は、思考力だけでなく基礎の理解が抜け落ちているからであることが多い。学校の日々の授業や小テストに丁寧に臨む。できないことは基礎の復習を怠らない。そういった当たり前のことをコツコツ積み重ねることが、合格への最短ルートなのだ。難しい問題に焦って取り組む必要はない。これは夏休みだろうが、受験直前であろうが、同じことだ。
そんなことは分かっている、もうやっている、と思う読者も多いだろう。その思いを、最後の最後まで忘れないでほしいのである。受験勉強は苦しい。どれだけ頑張っても成績が上がらない時期もある。それでも無情に時間だけは過ぎていく。そういった中で、受験が間近に迫ってくると、解いている問題や勉強している内容のレベルを下げることが怖くなることがある。周囲を見て、自分だけが基礎に立ち戻ることに焦りを抱いてしまうのだ。それでも臆せず、「基礎を見つめ直す」ということを大切にしてほしい。最後に合格をつかめるのは、それができる受験生だ。
最後に、もう一つ伝えたいのは「よく志望校の下調べをする」ことだ。実は筆者は2次試験の1か月前まで、東北大志望ではなかった。自分のしたいことが当初志望していた大学ではできないことに、1か月前にようやく気づき、とてつもなく焦ったという苦い思い出がある。余裕をもって勉強を進められるように、自分の志望校についてはしっかりと調べておくことを強くお薦めする。