「103万円の壁」 意識 4割
本学で「103万円の壁」を意識して働いたことのある学生が4割に上ることが、本紙のアンケート調査によって分かった。一定数の学生が壁の存在を意識せざるを得ない状態にあることが明らかとなった。
学生の年間給与収入が103万円を超えた場合などでは、学生自身に所得税が発生するとともに親の特別扶養控除が外され、親の所得税が増大する。これがいわゆる「103万円の壁」だ。
本紙は8月25日から31日にかけて、「103万円の壁」についてアンケートを実施し、63件の回答を得た。このうち「これまでアルバイトなどで『103万円の壁』を意識したことはあるか」という設問に「強く意識したことがある」「少し意識したことがある」と答えた学生は25人と、全体の40%に上った。
意識する理由については「親に『超えるな』といわれているから」が76%で、手取りが減らないよう親から注意されていることを理由に挙げた人が最も多かった。また「超えた後の手続きが面倒だから、面倒そうだから」という理由も64%に上り、手続きの煩雑さを避けたい学生も多くいることが分かる。
本紙はアンケート調査に加え、「103万円の壁」を意識して働く本学工学部3年と経済学部2年の学生に話を聞いた。
工学部の学生は「103万円の壁」を意識して働く理由について、第一に「親の手取りが大幅に減ること」を上げる。壁を超えて増えた分の税金を補うには、彼の場合年間収入を120万円ほどまで増やす必要があり「そこまで増やすのは時間や体力の面から無理」と話す。そのため、これまでの収入と照らし合わせながら労働時間を調整しているという。
経済学部の学生は実家からの仕送りがなく、年間収入を103万円にとどめておいた場合「遊びや旅行などで自由に使えるお金が少なくなる」として、年間収入を103万円以上にして働くことを決めた。周囲には、スナックなどで働いていることで報酬を手渡しで受け取るなどして、扶養控除を外されないようにする人もいるという。
宮城県では今月から最低賃金が50円引き上げられ973円となる。ただ「103万円の壁」を意識して賃金を目いっぱいに増やすことができない学生も一定数存在する。「最低賃金が50円上がる見込みだが、収入は増えるか」というアンケートの設問に対し、「103万円の壁」を意識しながら労働時間を調整する学生は19・3%に上った。賃金が上がっても壁の存在により、思い通りに収入を増やせない学生が一定数いることが浮き彫りとなった。工学部の学生は、賃金上昇後は「上がった分に反比例するよう労働時間を調整するだろう」と語る。賃金の水準は変化するため「それに合わせて壁となる収入の額も変化させてほしい」と話した。アンケート調査では「時給を上げるのに合わせ扶養を外れる金額も上げてほしい。働く時間が減り仕事先の人出が足りなくなる」との声もあった。
また工学部の学生は、アルバイトによっては学生を雇用して「給与」という形で支払うのではなく、「業務委託」の形で報酬を渡すところもあるという。その場合税制の関係で「年間収入が48万円を超えた段階で扶養を外されてしまう」と指摘した。