【一言居士】ー2024年12月号ー
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「今年もあっという間だったね」。友人たちと繰り返すこのやりとりは何回目だろうか。歳を重ねるごとに時間が早く過ぎるように感じる。ありふれた感覚。しかしなぜかやり過ごすことができない▼時間の流れを速く感じるようになる理由として、刺激がなくなり、生活が単調になるからだとよく耳にする。課題や部活動に追われ、たまの休日は趣味に時間を費やす日々。確かに同じことの繰り返しだったように思う。そして焦燥感に駆られた。もっと有意義に時間を使えばよかった▼「今ここにある君以外、ほかの何者にもなれない自分を認めなくてはならない」。森見登美彦による小説『四畳半神話大系』で、「薔薇色のキャンパスライフ」と現実の大学生活とのギャップに苦しむ主人公に向けられた言葉だ▼自分の可能性への希求には終わりがない。挑戦への原動力となる一方、ときにはそれを実現できない自分へ向けた呪いとなる▼必要なのは、周囲に流されることなく自分と向き合い、本当にやりたいことを選択することなのではないだろうか(文責・藤野こころ)