【ネット限定】報道部夏合宿 in 飯坂温泉3「旧堀切邸」
旧堀切邸の門をくぐると、古い建物に囲まれて非日常感と郷愁を覚える。落ち着いた雰囲気は旧堀切邸の魅力の一つと、館長の矢部久美子さんは語る。
敷地内には推定樹齢280年を超える大きなケヤキが育ち、毎年アオバズクが飛来する。ひなが育つ様子を撮りに、カメラマンが訪れるそうだ。
17代も続いてきた堀切家だが、住む人もいなくなり、空き家となり荒れていた屋敷を、平成4年に福島市が買い取り、保存、修復を行った。
主屋は火災に遭ったが、1881年に再建された。屋根は石巻産の石を板状に加工してふいたスレートぶきで、他にも天窓や木彫りの欄間と、工夫が多く施されている。
廊下伝いに見学できる三つの蔵には、堀切家で使われていた日用品や金庫、堀切家の歴史の解説展示がされている。
堀切家には国政で活躍した人物が多い。14代当主の良平は、子どもの教育に力を入れた。
良平の長男で15代当主の善兵衛は、イタリア大使や、当時最年少での衆議院議長を務めた。
善兵衛の弟の善次郎は、関東大震災後、震災局長となった。復興に努め、現在の東京の礎を築いた。また、1945年に内務大臣となり、女性参政権の法案を成立させた。
矢部さんは、ここで生まれ生活した堀切家の人々を地元内外の人にもっと発信したいと語る。
小中学生の社会科見学や職場体験を通して堀切邸とその人々の魅力を伝えていることもその一つである。
また、旧堀切邸では貸館も実施しており、地域の人々は旧堀切邸の施設を借りて、ハンドメイド作品を売ったり音楽を奏でたりする。桃祭りやつるしびなといった季節ごとの大きなイベントも開催されており、訪れる人は楽しみながら旧堀切邸の世界に入り込んでいく。
飯坂地区の内外を問わず皆さんに活用される場になることを望んでいる。と矢部さんは話す。