学都仙台コンソーシアムキャンパス公開講座 ~ビールの泡が最新技術に!?~
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学都仙台コンソーシアムとは、大学等の高等教育機関、行政、企業、公益法人などが連携して都市の個性を内外にアピールし、学都としての持続的発展を目指す団体だ。本講座は学都仙台コンソーシアムに加盟する大学が文化や歴史、健康や医療など幅広い分野を一般市民へ月に数回紹介する。今回、講師を務めたのは本学の多元物質科学研究所の村松淳司教授。テーマはビールの泡から考えられる最先端の材料がどのようなものか知ることだ。
村松教授はまずビールの泡がどのような物質なのかを解説。ビールの泡とはコロイドというナノ粒子よりも大きい物質で、気体や液体、固体の中を浮遊する分散という性質がある。
次にビールの溶液と泡がなぜ分かれるのかを、ビールの上手な注ぎ方を披露しつつ解説した。まずビールをグラスにある程度一気に注ぐ。すると非常に小さなナノ粒子が凝集する核生成という現象が起こり、グラスの底に泡がたまる。次にゆっくりとビールを注ぐと、グラスの上部に泡が押し出され、下部に液体がたまる。泡が残る理由は、泡の表面でホップと麦芽由来の物質やアミノ酸の吸着により界面活性剤のはたらきをし、泡の形が維持できるためだ。
核生成に続いて、ナノ粒子の凝集を繰り返す粒子成長という現象がある。最先端で目指すナノ材料をつくるには、粒子が核生成を起こして分散する一方、粒子成長を防止する必要があると村松教授。その例としてITOを挙げた。ITOとはスズトープ酸化インジウムの略称。スマートフォンやタブレットPCなどに必要な材料で、透明性や導電性、加工性に優れていることが特徴だ。村松教授はITOを使用するものとして透明電極を取り上げた。透明電極とは、液晶ディスプレイを動かす電極で、画面の表示の妨げにならないために透明度の高い材料から作られる。その新たな材料として、核生成されたナノ粒子の分散により変形が容易となったナノ材料を活用し、折りたたむことが可能な柔らかいディスプレイを作ることを目指している。
最後に村松教授は「ビールの泡のように身近なことから新たな技術を生むヒントを得ることができる」と語った。参加者は今回のテーマになったナノ粒子がどのようなもので、将来どう活用できるかを興味深く聞いた。