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人生初のフルマラソン記 ~走る、走る、ただ走る~

 今回筆者は先月14日に宮城県名取市、岩沼市、亘理町で行われた「東北・みやぎ復興マラソン2018」に参加してきた。筆者にとって人生初のフルマラソンである。大学生のうちに一度は、と思っていたが、いつかいつかと先延ばしにするうちに結局機会を逃す、なんてことになる気がしたため参加を決めた。決して、某報道部の記事にありそうな罰ゲーム的理由ではない。




 ということで参加申し込みをしてから、あれよあれよという間に3カ月が経った。明らかに準備不足のまま当日を迎え、不安と緊張の中、スタート地点に立つ。こうして「記者が駆けるフルマラソン2018秋」が開幕したのであった。
 「最初はとにかくゆっくり」と、大会1週間ほど前に調べたサイトで見た覚えがあったため、スタートしてからは自分でも不安になるほどゆっくり走った。他のランナーに次々と抜かれながらも、焦る気持ちを抑えリラックスして走るのを心がけた。

 しかし、5キロを過ぎたあたりでペースが上がり始めてしまう。これはひとえに筆者の我慢が足りないためではあるが、何よりもまず楽しくなってしまったのである。沿道からの応援、巨大な泡盛の被り物で走るランナー(このおじさん実はめちゃくちゃ速かった)。そして、給水所で提供されるフードが、まぁおいしいこと。12キロ付近で食べたはらこめしのあまりのおいしさにテンション爆上がりの筆者は、「マラソン最高っ!」と快走を見せるのであった。

 案の定、20キロでつぶれた。目に見えてスピードが落ちる。足は言わずもがな、振り続けた腕も重い。加えて、まだ半分も走っていないという絶望感に打ちのめされる。頭もぼんやりし始め、過ぎ去るランナーのTシャツにプリントされた「run」の文字を見て、「……ルン?」。東北大生の偏差値が2になった瞬間だった。それでも「ここで歩いたら終わる」と思い、なんとか走り続けた。

 しかし、28キロあたりで完全に足が止まり、歩き始めてしまった。足が上がらない。腕に力が入らない。沿道の人もまばらな、細い道だった。ランナーの背中を見送りながら、孤独感に押しつぶされそうだった。けれど、「歩くのに慣れたら完走はできない」と、再び奮起して走り出す。ここからは走っては歩いての繰り返しだった。

 残り10キロ地点。沿道に大勢の人がいて、見ず知らずの人とハイタッチをした瞬間、控えめに言って泣きそうになった。沿道の声援は、ランナーにとって驚くほど力になる。「がんばれ」の声を聞いた後は、ぼろぼろの体でさえ、なぜか走り出すことができる。「ここまで来たら走るしかない」。少しずつだが、ゴールは近づいていった。


 「あと5キロ、4キロ……」。もうすこしでゴールだと分かっているのに、なかなか距離が縮まらない。最後のこのジレンマが精神的にきつかった。ラスト2キロ、本当の本当にもうすぐゴールなのだと思った時、ふっと体が軽くなった。自分でもよく分からないが、最後にマラソンの過程をかみしめる、といった感じではなく、なぜか気持ちよく走ることができ、あっけなくゴールしてしまった。記録は5時間44分7秒。制限時間約20分前だった。

 以上で、「記者が駆けるフルマラソン2018秋」を終えた筆者だが、シンプルに走ってよかったと思っている。マラソンは孤独なものだと思っていたが、実際には全くそうではなかった。

 何よりも、 沿道の人々の温かい笑顔が大きな支えになった。筆者が完走することができたのは、紛れもなく大会の運営に関わってくれた人々のおかげである。本当にありがとうございました。
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