【ネタ記事】ズボラ飯(笑)、作ってみた・後編 ~実験初心者でも作れる! 簡単『イカトン』レシピを紹介~
https://ton-press.blogspot.com/2020/02/anti-zubora2.html?m=0
【前回のあらすじ】
私、イカトン! どこにでもいる社会的にどうしようもない本学2年生! クリスマスだからって全方位にケンカ売りまくって積分でフライドチキン作ろうとしたら大人と紙面の都合上1月になっちゃった! どうするのイカトン!
とにかく、筆者はなぜか残り338日(※)となったクリスマスに向けてフライドチキンを作り始めた。おさらいだが、筆者はこだわりとして「鶏肉をフーリエ変換した結果得られた形の平均を『理想的鶏肉』として取り扱う」「鶏肉の収縮まで加味した上で厳密に必要な油の量を計算して理想的鶏肉を揚げる」こととしていた。
前者については、Google Driveに鶏肉の画像を491枚保存したり、チキンカツを前にしたら食べる前に写真を10枚撮ったりと、周囲の軽蔑と引きかえに理想的鶏肉を得ることができ、その積分も終わった。この過程で分かったことは、一人で焼肉に行くときにチキンステーキを延々と頼んだ挙句、焼くことではなく写真を撮ることに熱中すると、隣の席からの嘲笑が聞こえてくることである。
次に、鶏肉がどれだけ収縮するかを考える必要がある。そのために必要な方法を記す。まず、2週間連続で買い続けた鶏胸肉の体積をフーリエ変換し、体積を求めた。面倒であれば1リットルの容器の水がどれだけこぼれたかで測ってよい。ここだけの話、筆者は途中から計算が面倒になってそうした。次にフライパンは楕円錐から楕円錐を切り抜いたものと近似し、体積を求める。次に、165~175度に熱した油で焼き、その後鶏肉の体積変化を求める。この結果から、体積あたりの収縮度を知ることができる。シンプルに書いたつもりだが、これをするためだけに1日2時間かけて夕飯を作った人間(筆者)もいるのである。ちなみに筆者は何も考えずに音声付きでその様子をモニタリングしていたのだが、料理中「今日の鶏肉はかわいいな」などとほざいており、社会に出してはいけない虚無の容態を晒していた。こんな行為を昨年10月21日から11月4日まで毎日130グラムの鶏胸肉で行った。この平均値は61.2%であり、この値を鶏胸肉の収縮率とした。あとは調理するだけである。
ここでようやく「下ごしらえ」が終わった。収縮率が分かり、理想的鶏肉の積分もできた。あとは「完全に収縮したと仮定した理想的鶏肉の高さの半分の油の量」を計算するだけである。では周囲の視線を代償に下ごしらえに15日、関数化に12日もの準備を要した今回の結果、フライドチキン調理の最適解はこうなった。おそらく小紙史上最も長い料理記事である。ぜひ皆さんもまねしてみてほしい。
【器具】
・シャープ除湿機CV-J71W
・直径20センチのフライパン
・フライ返し(菜箸)
・wolfram alpha
・メスシリンダー50ミリリットル
・ガラス棒
・ガスコンロ
・乾燥したガラスボウル
・料理用温度計
【試薬】
・理想的鶏胸肉173グラム
・サラダ油63.426ミリリットル
・普通にフライドチキンを作るときの材料群
【方法】
①各自がフライドチキンの味付けに用いる材料を鶏胸肉に漬け込む。このとき漬け込む時間は各自が普段つけ込んでいる時間でよい。なお、浸透圧は誤差とし、収縮に関わる湿度を固定すべく除湿器を用いて湿度50%に固定すること。
②各自が普段まぶしている粉類を鶏胸肉にまぶす。
③メスシリンダーで所定の油を測りとり、ガラス棒を用いてフライパンに静かに注ぎ、170度まで熱する。真のイカトンを目指す場合には、あらかじめ鶏肉の体積をwolfram alphaで求めてから、必要な油の量を計算し直すこと。
④鶏胸肉をフライパンに静かに乗せ、10分加熱する。その後、鶏胸肉をひっくり返してもう一度6分加熱する。焼き色をつけたい場合は、さらにふたをすることをお勧めする。
⑤心配な場合には揚げられた物体を真ん中で切り、肉の色を確認すること。
料理は実験というならここまではすべきだろう。イカトンは以上のようにしてフライドチキンを作り上げる。こんな計算され尽くされた味、当然美味しいに決まっている。さあ脳内のドーパミンが湧いてくる。体が悲鳴をあげてうめえと……いや普通じゃねえか。そう、結局普通の調理法でしかないので味も普通、これがイカトンクオリティーである。まず最初に反省すべき点は、調理法がまず本当にありきたりな「揚げ焼き」という手法であることだ。ここまでいっておきながら言うのもなんだが自覚はしていた。次に調味料。ここで差をつけるべきだった。自己顕示欲を示すなら方法ではなく味に差をつけるべきであった。自己顕示欲の塊であるはずなのに結局出来上がるものが……というか今までの下ごしらえ期間ずっとフライドチキンばかり食べていたのでそりゃ味においしいもまずいも感じなくなっているよなあ……。と、このように肝心の味のところでルーズになっているところもやはりイカトンらしさを形容しているといえよう。では皆さん、338日後(※)に控えたクリスマスに向け、よい1日を。
※小紙459号発行日の2020年1月22日時点。
私、イカトン! どこにでもいる社会的にどうしようもない本学2年生! クリスマスだからって全方位にケンカ売りまくって積分でフライドチキン作ろうとしたら大人と紙面の都合上1月になっちゃった! どうするのイカトン!
とにかく、筆者はなぜか残り338日(※)となったクリスマスに向けてフライドチキンを作り始めた。おさらいだが、筆者はこだわりとして「鶏肉をフーリエ変換した結果得られた形の平均を『理想的鶏肉』として取り扱う」「鶏肉の収縮まで加味した上で厳密に必要な油の量を計算して理想的鶏肉を揚げる」こととしていた。
前者については、Google Driveに鶏肉の画像を491枚保存したり、チキンカツを前にしたら食べる前に写真を10枚撮ったりと、周囲の軽蔑と引きかえに理想的鶏肉を得ることができ、その積分も終わった。この過程で分かったことは、一人で焼肉に行くときにチキンステーキを延々と頼んだ挙句、焼くことではなく写真を撮ることに熱中すると、隣の席からの嘲笑が聞こえてくることである。
次に、鶏肉がどれだけ収縮するかを考える必要がある。そのために必要な方法を記す。まず、2週間連続で買い続けた鶏胸肉の体積をフーリエ変換し、体積を求めた。面倒であれば1リットルの容器の水がどれだけこぼれたかで測ってよい。ここだけの話、筆者は途中から計算が面倒になってそうした。次にフライパンは楕円錐から楕円錐を切り抜いたものと近似し、体積を求める。次に、165~175度に熱した油で焼き、その後鶏肉の体積変化を求める。この結果から、体積あたりの収縮度を知ることができる。シンプルに書いたつもりだが、これをするためだけに1日2時間かけて夕飯を作った人間(筆者)もいるのである。ちなみに筆者は何も考えずに音声付きでその様子をモニタリングしていたのだが、料理中「今日の鶏肉はかわいいな」などとほざいており、社会に出してはいけない虚無の容態を晒していた。こんな行為を昨年10月21日から11月4日まで毎日130グラムの鶏胸肉で行った。この平均値は61.2%であり、この値を鶏胸肉の収縮率とした。あとは調理するだけである。
ここでようやく「下ごしらえ」が終わった。収縮率が分かり、理想的鶏肉の積分もできた。あとは「完全に収縮したと仮定した理想的鶏肉の高さの半分の油の量」を計算するだけである。では周囲の視線を代償に下ごしらえに15日、関数化に12日もの準備を要した今回の結果、フライドチキン調理の最適解はこうなった。おそらく小紙史上最も長い料理記事である。ぜひ皆さんもまねしてみてほしい。
【器具】
・シャープ除湿機CV-J71W
・直径20センチのフライパン
・フライ返し(菜箸)
・wolfram alpha
・メスシリンダー50ミリリットル
・ガラス棒
・ガスコンロ
・乾燥したガラスボウル
・料理用温度計
【試薬】
・理想的鶏胸肉173グラム
・サラダ油63.426ミリリットル
・普通にフライドチキンを作るときの材料群
【方法】
①各自がフライドチキンの味付けに用いる材料を鶏胸肉に漬け込む。このとき漬け込む時間は各自が普段つけ込んでいる時間でよい。なお、浸透圧は誤差とし、収縮に関わる湿度を固定すべく除湿器を用いて湿度50%に固定すること。
②各自が普段まぶしている粉類を鶏胸肉にまぶす。
③メスシリンダーで所定の油を測りとり、ガラス棒を用いてフライパンに静かに注ぎ、170度まで熱する。真のイカトンを目指す場合には、あらかじめ鶏肉の体積をwolfram alphaで求めてから、必要な油の量を計算し直すこと。
④鶏胸肉をフライパンに静かに乗せ、10分加熱する。その後、鶏胸肉をひっくり返してもう一度6分加熱する。焼き色をつけたい場合は、さらにふたをすることをお勧めする。
⑤心配な場合には揚げられた物体を真ん中で切り、肉の色を確認すること。
料理は実験というならここまではすべきだろう。イカトンは以上のようにしてフライドチキンを作り上げる。こんな計算され尽くされた味、当然美味しいに決まっている。さあ脳内のドーパミンが湧いてくる。体が悲鳴をあげてうめえと……いや普通じゃねえか。そう、結局普通の調理法でしかないので味も普通、これがイカトンクオリティーである。まず最初に反省すべき点は、調理法がまず本当にありきたりな「揚げ焼き」という手法であることだ。ここまでいっておきながら言うのもなんだが自覚はしていた。次に調味料。ここで差をつけるべきだった。自己顕示欲を示すなら方法ではなく味に差をつけるべきであった。自己顕示欲の塊であるはずなのに結局出来上がるものが……というか今までの下ごしらえ期間ずっとフライドチキンばかり食べていたのでそりゃ味においしいもまずいも感じなくなっているよなあ……。と、このように肝心の味のところでルーズになっているところもやはりイカトンらしさを形容しているといえよう。では皆さん、338日後(※)に控えたクリスマスに向け、よい1日を。
※小紙459号発行日の2020年1月22日時点。