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【連載】あの日を訪ねて ⑦本学附属図書館 ~87万冊落下 粉塵でもや~

  本学学生が日頃使っている東北大学附属図書館本館。今では問題なく利用できるが、東日本大震災では約87万冊の本が落下するなどの大きな被害を受けた。


 『「あの日」を訪ねて』第7回では、本学附属図書館事務部長の小陳左和子さんと、本学附属図書館情報サービス課課長の半澤智絵さんに、当時の状況や復旧作業について伺った。

震災により製本雑誌が散乱した2号館の様子
(2011年3月14日撮影、本学附属図書館提供)


 揺れが始まった午後2時46分、小陳さんと半澤さんは本館の事務室にいた。揺れが収まると同時に小陳さんがフロアのほうに駆け出すと、本が落ちて生じたホコリや粉塵で、もやがかかっていた。とにかく建物の外に出ることを最優先にし、利用者を正面玄関の前に避難させた。負傷者はいなかったが、腰が抜けたようになり、職員に支えられて避難した人もいた。


 当時は春休みで、利用者は通常より少ない200人ほど。正面玄関の前で避難してきた利用者の確認をしていた半澤さんは「学生さんは意外に落ち着いていました。その状況はわれわれにとってありがたかったです」と話す。


 週が明けた14日、まず始めたのは被害状況の確認だった。書架から振り落とされた本は膝のあたりまで積み重なっており、壁のひび、水漏れの被害もあった。翌15日から、落ちた本を少しずつ床に積み上げ始めた。


 最も復旧が大変だったのは2号館の製本雑誌。配架していた雑誌の9割近い約35万冊の本が落下した。本棚ごとに、何がどんな順番で並んでいるかの詳細なデータがなかったため、本棚に表示されていた「この雑誌からこの雑誌まで」という情報が手がかりだった。本をタイトルごとに集めて巻号順に整理し、それをタイトルのアルファベット順に並べ直す。雑誌は重く、気の遠くなる作業だった。東北大学地域復興プロジェクト〝HARU〟の学生ボランティアとも協力し、復旧作業を進めた。


 震災当時は、正面玄関前で解散した後どこに行けばいいか戸惑う学生が多かった。現在は川内北キャンパスにある体育館や、立町小学校(仙台市青葉区)に避難できるといった、図書館を出た後の避難先も伝えられるようにしている。


 今後、図書館にいるときに地震が起こった場合は「とにかく本棚から離れてください」と半澤さんは話す。「危ないと思った時点で逃げるというのが大事。常に避難経路を確認してほしいです」

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