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演劇部公演『ひたむきな星屑』 コロナ禍練習困難も 無事閉幕

  学友会演劇部秋公演『ひたむきな星屑』が11月13、14、19、20日の計4日間にわたり、川内ホール(川内北キャンパス)で行われた。『ひたむきな星屑』の舞台となるのは群馬県の郊外、朝日ヶ丘のサービスエリア。朝日ヶ丘では再開発事業が進んでいるが、町自体には高速道路の出入り口がない、閉塞的な空間である。東京から里帰りした小山青子は、フードコートの隅の店でめいの加絵や、中学の同級生であり上司でもある大沼らと共に働いている。

 


 クレーマーの出現や道路の陥没、避難してきた客による暴動。これらの事件を経て、朝日ヶ丘の本質が暴かれる。そして最後は加絵が上京した後、朝日ヶ丘に残った青子に向けて、手紙を送る場面で幕を閉じた。


 会場内では開演時刻まで、車が道路を通過する音が流れていた。観客たちは開演前から、あたかも客席がサービスエリア内にあるかのような臨場感を味わった。


 本編の中で特徴的だったのは、照明の色である。開演を知らせるベルが鳴った直後、照明によって一面が緑、白、赤の順に染まった。青子と加絵の会話シーンに入るとその度に、渋滞中の車のテールランプを模した赤い照明が、舞台後方で点灯していた。


 演出の川本優希さん(文・1)は、「緑は朝日ヶ丘の閉塞的な空間、赤は外部の人間からの朝日ヶ丘への攻撃、白は心の隙間を埋めるものをそれぞれ表している。これらの色を冒頭で流した後に本編に入ることで、朝日ヶ丘にはいろいろな環境が集まっていることを表したかった」と言う。会話シーンでの赤い照明については「東京から朝日ヶ丘に戻った青子と朝日ヶ丘から東京へ出て行く加絵が、一緒に渋滞中の車のランプを見ているという場面に意味を持たせたかった」と話した。


 本公演の脚本が『ひたむきな星屑』に決まったのは8月上旬。脚本の舞台である朝日ヶ丘に漂う閉塞感が地元と似ていると、演出の川本さんが考えたことが決定の背景にあったという。


 本公演の練習は9月上旬から始まった。しかし新型コロナウイルスの影響もあり、1回の練習の参加人数が制限されるなど困難が多い中での練習となった。「新型コロナが収束してきた中で1、2年生が一つの公演を無事終えられたことは、部としての進歩だと思う」と学生代表の奥井耀大さん(文・2)は振り返る。


閉幕後、ほっとした表情を浮かべる演劇部員
(演劇部提供)


 青子役の岡部結衣さん(文・1)は「練習で先輩から指摘されていた、会話の自然さを本番で出すことができた」と話した。加絵役の立花文音さん(農・1)は「前回の部内公演ではコントをやったが、今回は全く別のジャンルに挑戦した。この経験は自分を成長させるものになったと思う」と語った。コロナ禍を乗り越えて行われた演劇部秋公演は、大団円を迎えた。


(聞き手は前川銀平)


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