【連載】コロナ禍の教室 ③文系学生・教員 新たな授業形態 学生に定着
本学では、10月1日からBCP(新型コロナ行動方針)がレベル1に引き下げられたことにより、多くの講義で対面授業が再開された。そこで、教員と学生両方の視点から授業形態のあり方について考える。
【次号は理系学生・教員の視点を掲載します】
初めに、学部1年生の視点として、村岡優希子さん(文・1)、村尾愛乃さん(同)に話を聞いた。
1年生の大学生活の現状について話す 村尾さん(左)と村岡さん(右) |
―後期に入ってから、授業の参加方法は全体的にどう変化したか
村岡 対面とオンラインを毎週交互に行う授業が増えました。
村尾 私も同じです。受講人数の多い授業では受講生の半分が大教室で対面授業を受け、もう半分はオンライン授業を受ける講義もあります。対面授業とオンライン授業を毎週交互に受ける形です。
―後期から対面授業が増えたり、サークルなどの課外活動の規制が緩和されたりしたことで、人間関係はどう変化したか
村尾 前期より友達が増えました。対面授業で、それまでの友達を介して新しい友達と出会い、さらに交友関係が広がっていきました。
村岡 新型コロナウイルスの感染状況が落ち着いた夏休み明けから、サークルの仲間とご飯を食べに行く機会が増え、多くの人と仲良くなることができました。
―対面授業とオンライン授業のどちらを希望するか
村尾 私は、対面とオンライン併用のハイブリッド型がいいです。オンライン授業では、ネット環境によるトラブルが発生することがありますが、対面授業ではその心配がありません。でも、対面授業に行けない事情がある際に、オンラインでも授業を受けることができると安心します。
村岡 私もハイブリッド型がいいです。オンライン授業だと他のことをやりながら受けてしまいますが、対面授業の場合、先生が目の前にいるので集中できます。オンライン授業も希望する理由は村尾さんと同じです。
対面コミュニケーション確保が課題
次に、今年度、講義をオンライン授業から対面授業に移行している、文学研究科の茂木謙之介准教授に話を聞いた。
「キャンパスライフの意義は人間関係だ」 と茂木准教授は語る |
―授業形態が多様化した現在、感じていることは
教員にとっては、20 19年度までは対面授業が当たり前でしたが、今の1、2年生にとってはオンライン授業中心の生活が普通だと感じているようです。そのような中で、従来の教育スタイルの常識を考え直す時期に来ていると感じます。
―対面授業の意義は
学生の反応や授業中の雰囲気に応じて、授業内容を調整できるところだと思います。また、学生同士で空間を共有することによって、講義のトピックだけでなく思いがけない新たな展開が派生してくることも重要ですね。
―オンライン授業の意義は
オンライン上だからこそ発言できたり、互いの顔が見えないので授業に参加しやすくなったりした学生もいると思います。また、資料の紹介なども直接できるのは魅力的です。オンデマンド授業の場合は何度でも見直せるので、講義内容に対する関心や疑問が多く湧いてくることも良いところだと思います。
―対面授業とオンライン授業のどちらが良いと思うか
「どの授業形態がより良いか」というより、「対面授業によって生み出されていた直接的なコミュニケーションを、これからどう確保していくか」が問題だと思います。実際のところ、学習効果は対面とオンラインで決定的には変わらないと感じます。キャンパスライフの意義は、講義を受けることだけではなく、その前後における交流を通して人間関係を構築することにもあるのではないでしょうか。