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【特別インタビュー】囲碁棋士 河北新報取締役 仙台市出身 一力遼さん

  今年9月に囲碁の主要国際戦、応氏杯世界選手権で優勝した一力遼さん。11月には名人を獲得し四冠に輝いた。囲碁棋士として活躍する傍らかつて大学に通い、現在は河北新報社の取締役も務める。「二刀流」とも称される一力さんに話を聞いた。 (聞き手は鈴木舞優、渡辺湘悟)

 

 

いちりき・りょう

1997年生まれ、仙台市出身。父は河北新報社の社長を務める一力雅彦氏。2010年6月にプロ入り。早稲田大学社会科学部を卒業し、2020年に河北新報社に記者として入社。本年9月に応氏杯優勝。11月には四冠(=棋聖、名人、天元、本因坊=)に輝いた。

 

 

―一日のスケジュールは
 対局のある日と対局のない日で変わりますが、対局のある日は午前7時に起きて囲碁の勉強をし、朝食を取って対局に向かいます。対局がない日は午前10時頃から研究会に参加したり、オフの日として散歩や卓球などをしたりしています。
 
 
―仙台で学んだことは
 5歳から10歳まで仙台で囲碁教室や碁会所に通い、囲碁を学びました。東北大学のOBや学生といったアマチュアの方々と試合を重ねました。囲碁教室を開いていた大沢伸一郎先生(東北大学病院助教)には、行動面や物事の考え方など囲碁の打ち方以外のことも教えていただきました。その時々の自分の実力に合ったいい指導者の方たちに巡り合えたなと感じています。
 
 
―プロになりたいと思ったきっかけは
 実力が徐々に着いてくるとプロになりたいと思うようになりました。囲碁を教えてくれた祖父は初めあまり乗り気ではなかったのですが、祖母が説得してくれました。
 
 
―棋士として珍しく大学に進学した
 学際的な分野を学べる早稲田大学社会科学部に進学しました。一つの物事を追究するよりも大学時代にいろいろ知っておきたいと思い入学しました。過去のテストや内容をもとに試験対策を行うところが、事前に対戦相手の傾向を調べて対局に臨む囲碁の世界と相通ずるところがあったと感じています。
 
 
―学業との両立は大変ではなかったか
 現在の役員との両立生活よりも大変でした。対局のある日は囲碁に専念し、対局のない日に勉強をしていました。ただ対局と試験が重なることもあり、そのときは気持ちを切り替えながら、目の前の取り組むべきことに集中していました。
 
 
―記者になってからの生活は
 河北新報社に入社しても、囲碁がメインの生活を送っていましたが、1カ月に1本か2本ほどコラムを書いていました。一度インタビュー形式での取材をする機会があり、そのときは事前に相手の職業などをよく調べてから取材しました。
 
 
―現在は河北新報社で取締役を務めている
 メインは囲碁ですが、可能なときは週に一度ある役員会にオンラインで参加しています。これまで囲碁と学業を両立してきたので、その延長線としてやってみようと考えました。
 
 
―応氏杯優勝後の記者会見で「日本の囲碁の底上げをしたい」と言っていたが、何をしていくか
 小さいころ中国や韓国で囲碁の勉強をしたこともあり、海外の経験を取り入れたいなという思いは最近強くなりました。日本の囲碁界は7つのタイトル戦が最も重視され、国際大会に積極的に出る機運がありませんでした。ここ数年は変わってきているなという印象があります。
 
 
―今年8月に仙台で「一力遼杯仙台囲碁フェスティバル」が開かれた
 もともと仙台でそういった大会やイベントをやりたいという思いはありました。僕の提案を周りがサポートしていただいて、実現することができました。仙台市は僕の故郷でもありますし、食べ物もおいしく自然も豊かで都市として充実しています。この仙台で教わったことが今の自分につながっています。囲碁をより多くの人に楽しんでもらいたい、何か恩返しをしたいという気持ちがあります。
 
 
―大学生に向けてメッセージ
 今の時代は将来の選択肢がたくさんあります。自分が夢中になることを見つければ、そこで身に着いたことが他の分野にも応用でき、人生がより豊かになると思います。
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