【ニュース】糖尿病性腎臓病 治療薬開発へ クラファンプロジェクト開始
本学大学院医学系研究科分子内分泌学分野の菅原明教授らは、クラウドファンディングプロジェクト「進行を止めにくい『糖尿病性腎臓病』治療薬開発に向けた研究の加速へ」を10月1日から開始した。寄付金は人件費や化合物合成費などの研究資金に充てられる。10月31日の時点で当初の目標金額である800万円を達成。ネクストゴールを2000万円と定め、引き続き寄付を募る。
糖尿病性腎臓病は、糖尿病の3大合併症の一つだ。糖尿病で血糖値の高い状態が続くと、毛細血管の塊である糸球体が壊れ、腎臓の働きが低下してしまう。進行して末期腎不全になると、透析療法により人工的に血液中の老廃物や余分な水分を取り除くことが必要になる。現在はACE阻害薬やARBといった治療薬を用いた治療が行われているが、進行を止めることは難しく、透析導入まで進行する患者も多い。
菅原教授は、糖代謝や脂質合成系、酸化ストレスに関与する遺伝子の発現調節により恒常性の維持に関わる、糖質応答転写因子ChREBPに着目。既存薬とは異なるメカニズムをもつ新規治療薬の開発を目指す。治療の選択肢を増やし、より効果的な治療へとつなげることが期待される。菅原教授らは、東北大学化合物ライブラリーのハイスループットスクリーニングからChREBPの活性化阻害薬であるD532を同定。D532は1型・2型糖尿病モデルマウスに糖尿病性腎臓病の改善効果を示した。治療薬の候補として有望な一方、今後多くの検証が必要だ。また構造を変えることによってより効果が高く、生体にとって問題が起こりにくい薬剤を生成することが目指される。
菅原教授は「クラウドファンディングを通して皆さんの思いを実感している。新規治療薬開発に向け、決意を新たに頑張らなければと思う」と語った。
プロジェクトへの思いを語る菅原教授 |
寄付は今月20日午後11時まで募り、クラウドファンディングサイト「READYFOR」から行える。