【連載】オフィスアワー 五月病とはなにか 環境が要因の適応障害
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身近な疑問を先生方に尋ねに行く企画「オフィスアワー」。ふと抱くものの理由が分からない―そんな疑問の答えを報道部員が専門家に聞く。第4回は、この時期よく耳にする「五月病」について。原因と対処の方法を、本学大学院医学系研究科の福土審教授に聞いた。(聞き手は鈴木優梨子)
ふくど・しん 本学医学部医学科卒業後、 本学医学部附属病院心療内科に入局。 1999年より現職。2011年より東北大学病院心療内科科長。 専門は心身医学、行動医学 |
―五月病は、医学的にはどのようなものですか
一般的に五月病といわれる症状の多くは、医学的には適応障害といえます。適応障害というのは、置かれた環境に適応しきれなくなり、不調和になっている状態です。気分が晴れない、やる気が起きないなど、心理面や行動面に影響が出ます。
―5月に不調になるのも環境が原因なのですか
環境依存的な部分は非常に大きいです。5月は気温や湿度の上昇など、物理的な環境が変化する時期であり、入学や進級などで、個人的に環境が大きく変化した4月から1カ月が経過する時期でもあります。新しい環境に適応しようと個人は努力をしますが、環境とのミスマッチが起こることもあり、それが不調として表れるのが5月頃だと考えられるのです。
―予防や対処の方法を教えてください
期待と現実の食い違いからストレスを感じることがあると思いますが、学生の皆さんには、想像よりも現実の現象と向き合い、実体験を重ねていくことを重視してほしいです。このことは五月病の予防にもなります。
実際に体調不良を感じたときには、自分の気持ちや体調を点検することが大切です。例えば、食欲や睡眠が適切な水準にあるかを点検しましょう。
また、社会支援網と呼ばれる他者とのつながりがある方が、ストレスに対処しやすくなることも分かっています。友達や家族とコミュニケーションをとって生活していくことで、ストレスが緩和されやすい環境を作ることができます。