雨宮キャンパスの今 ~次代の市街地モデル目指し~
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本学雨宮キャンパス跡地の再開発計画で、株式会社イオンモールへの土地売却手続きが、昨年12月3日に完了した。樹木保存の問題といった課題を解決した上で、引き渡しが行われた。
雨宮キャンパスは、1925年の旧制二高(現・東北大)の立地以来九十余年、雨宮地区における学問・教育の地として地域に根差してきた。53年には、キャンパスの西半分を占めていた宮城第一女子高等学校が中島丁に移転され、本学農学部の単独使用となった。その後94年に、雨宮キャンパスおよび片平キャンパス一部地区の青葉山新キャンパス(旧青葉山県有地)への移転が評議会で決定され、2017年3月をもって農学部・農学研究科が青葉山新キャンパスに完全移転された。
東北大学学報(第1621号別冊)によると、移転決定の理由は、総合大学としての機能を十分に発揮する教育研究環境の実現にあるという。1996年には「東北大学新キャンパス構想」が評議会で承認され、キャンパス移転統合計画の必要性と、「総合大学として大学内各部局の有機的連携」、「自然調和型キャンパス」、「地域開放型キャンパス」から成り立つ新キャンパス基本構想が定められた。また、99年に示された「片平・雨宮地区等の移転に関わる新キャンパス整備大綱」では、農学部および片平地区研究所の拡充の要望に応えるための基本方針が述べられている。さらに、2004年の「東北大学新キャンパス構想―Triangle Vision―」においては、学際的・先導的研究の推進や異分野における交流・連携を図るために、市内5カ所に分散配置されていたキャンパスが4カ所に再編・整備されることが決まった。
以上のような本学の構想および検討・経緯のほか、雨宮キャンパス売却における市全体のまちづくりへの影響を考慮し、仙台市、仙台商工会議所、建築専門家、本学役員からなる「東北大学キャンパス移転まちづくり会議」が立ち上がる。当会議では13年に、キャンパスの活用における基本的な考え方が「雨宮キャンパス移転まちづくり検討報告書」としてまとめられた。
当報告書では「まちづくりのコンセプト」および「土地利用の方針」が示されている。今後の雨宮地区のまちづくりでは、「杜の都」の「まちなか暮らし」を先導するスマートタウンとして、次代の市街地モデルにふさわしい移住環境、豊かな暮らしを彩るにぎわい、安全安心を兼ね備えた複合市街地の形成を目指すという。具体的には、周辺市街地と調和する計画的な土地利用や、歩いて暮らせる回遊性の高い都市空間の創出、広場や医療・福祉機能等が連携する北部防災拠点の構築などが期待されている。「雨宮キャンパス移転まちづくり検討報告書」の尊重を入札参加条件として開発事業者の公募が行われ、14年に株式会社イオンモールへの売却が決定した。
長年にわたる本学のキャンパス整備は、雨宮キャンパス跡地の再開発以外にも、多方面でまちづくりに貢献している。片平キャンパスでは、市民有志の熱心な活動を背景に、歴史的建造物の保存・活用、開かれたキャンパスづくりなどが評価され、「都市景観の日」実行委員会が主催する平成29年度都市景観大賞・都市空間部門において「特別賞」を受賞。また青葉山新キャンパスでは、「放射光施設」の整備が検討されており、新たな産業創出に期待が高まっている。
市内の主要キャンパスが青葉山、川内、片平、星陵の4カ所に再編・整備され、より一層学術上の集積が可能となった本学。キャンパス近くには、西公園や仙台城址などの杜の都を象徴するオープンスペースが数多く存在する。本学が目指す大学とまちづくりの理想的な関係について、キャンパスデザイン室の担当者は、「さまざまな資源を活用し多様な人々と連携することで、本学の発展がひいては仙台・東北の経済的・文化的発展につながれば」と見解を示した。
研究環境の充実図る
雨宮キャンパスは、1925年の旧制二高(現・東北大)の立地以来九十余年、雨宮地区における学問・教育の地として地域に根差してきた。53年には、キャンパスの西半分を占めていた宮城第一女子高等学校が中島丁に移転され、本学農学部の単独使用となった。その後94年に、雨宮キャンパスおよび片平キャンパス一部地区の青葉山新キャンパス(旧青葉山県有地)への移転が評議会で決定され、2017年3月をもって農学部・農学研究科が青葉山新キャンパスに完全移転された。
東北大学学報(第1621号別冊)によると、移転決定の理由は、総合大学としての機能を十分に発揮する教育研究環境の実現にあるという。1996年には「東北大学新キャンパス構想」が評議会で承認され、キャンパス移転統合計画の必要性と、「総合大学として大学内各部局の有機的連携」、「自然調和型キャンパス」、「地域開放型キャンパス」から成り立つ新キャンパス基本構想が定められた。また、99年に示された「片平・雨宮地区等の移転に関わる新キャンパス整備大綱」では、農学部および片平地区研究所の拡充の要望に応えるための基本方針が述べられている。さらに、2004年の「東北大学新キャンパス構想―Triangle Vision―」においては、学際的・先導的研究の推進や異分野における交流・連携を図るために、市内5カ所に分散配置されていたキャンパスが4カ所に再編・整備されることが決まった。
以上のような本学の構想および検討・経緯のほか、雨宮キャンパス売却における市全体のまちづくりへの影響を考慮し、仙台市、仙台商工会議所、建築専門家、本学役員からなる「東北大学キャンパス移転まちづくり会議」が立ち上がる。当会議では13年に、キャンパスの活用における基本的な考え方が「雨宮キャンパス移転まちづくり検討報告書」としてまとめられた。
当報告書では「まちづくりのコンセプト」および「土地利用の方針」が示されている。今後の雨宮地区のまちづくりでは、「杜の都」の「まちなか暮らし」を先導するスマートタウンとして、次代の市街地モデルにふさわしい移住環境、豊かな暮らしを彩るにぎわい、安全安心を兼ね備えた複合市街地の形成を目指すという。具体的には、周辺市街地と調和する計画的な土地利用や、歩いて暮らせる回遊性の高い都市空間の創出、広場や医療・福祉機能等が連携する北部防災拠点の構築などが期待されている。「雨宮キャンパス移転まちづくり検討報告書」の尊重を入札参加条件として開発事業者の公募が行われ、14年に株式会社イオンモールへの売却が決定した。
地域との連携を重視
長年にわたる本学のキャンパス整備は、雨宮キャンパス跡地の再開発以外にも、多方面でまちづくりに貢献している。片平キャンパスでは、市民有志の熱心な活動を背景に、歴史的建造物の保存・活用、開かれたキャンパスづくりなどが評価され、「都市景観の日」実行委員会が主催する平成29年度都市景観大賞・都市空間部門において「特別賞」を受賞。また青葉山新キャンパスでは、「放射光施設」の整備が検討されており、新たな産業創出に期待が高まっている。
市内の主要キャンパスが青葉山、川内、片平、星陵の4カ所に再編・整備され、より一層学術上の集積が可能となった本学。キャンパス近くには、西公園や仙台城址などの杜の都を象徴するオープンスペースが数多く存在する。本学が目指す大学とまちづくりの理想的な関係について、キャンパスデザイン室の担当者は、「さまざまな資源を活用し多様な人々と連携することで、本学の発展がひいては仙台・東北の経済的・文化的発展につながれば」と見解を示した。