【一言居士】ー2024年11月号ー
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駅前のイオン仙台店が来年2月末に閉店する。前身のダイエー仙台店以来、50年の歴史に幕を閉じる▼「発達」と聞くと、どのような印象を抱くだろうか。背が伸びる、歩けるようになるといった子どもの成長を指す言葉だと思う人も多いだろう。しかし、心理学者バルテスによれば、人間の発達とは生涯にわたる「獲得」と「喪失」の繰り返しである▼前述の例も、もちろん発達に含まれる。それに加えて、加齢に伴う価値観の変化や、物忘れや体力の低下なども「発達」である▼子どもも「獲得」ばかりではない。例えば、生まれたばかりの赤ちゃんはどんな言語の発音も区別できると言われている。母語で区別されない発音の聞き分けを手放すことで、母語の習得を効率化する。人間は常に「獲得」と「喪失」の両方によって環境に適応していく▼旧東北大学雨宮キャンパス跡地では、イオンモール仙台上杉(仮称)が来秋オープンする予定で、現在も建設が進められている。私たちが住むこの街も、獲得と喪失を繰り返しているようだ。
(上野日菜多)