【特別インタビュー】本学在学 作家 瀬川コウさん
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今年3月、「謎好き乙女と奪われた青春」を出版した瀬川コウさん。本学在学中でありながら、旺盛に執筆活動を行う瀬川さんに、話を伺った。
―「謎好き乙女と奪われた青春」が3月に発売されました。現在のお気持ちをお聞かせください
今回の本は、予想外に反響が大きかったですね。身近な人だけでなく、Twitterなどでたくさんの方からコメントや感想を頂きました。広く読まれているというのはありがたいですし、楽しんで頂けて嬉しいです。
―作家を志したきっかけを教えて下さい
大学に入り、勉強だけでなく様々な分野で活躍している友人を見て、自分も何か始めようと思ったのがきっかけです。そう考えたときに、高校時代文芸部だったことを思い出し、小説家を目指そうと思いました。感想や批評を求め、小説をネットに投稿することから始めました。
―本作を執筆した経緯をお聞かせください
そもそも、デビューしやすいということもあり、ライトノベル作家を目指していました。もともとミステリーが好きで、書きたいと思っていたのですが、ライトノベルの題材としてミステリーはあまり適していません。普段書けないけれど、好きなものを書きたいという思いを発散する意味もあり、本作を書いてみました。そのとき「Eエブリスタ スマホ小説大賞」があったので応募したところ、新潮文庫賞を受賞しました。
―本作について、工夫や思い入れなどはありますか
本作は、主人公とヒロインの絶妙な関係性を描きたいというのがまずありました。今回はミステリーで、高校が舞台です。出身高校の年間予定表を見て、ミステリーの素材になりそうなイベントを探し、ネタを考えていきました。
物語の構成も、読みやすくするためには大事だと思っています。構成に気を付けて、読者を飽きさせないようにしています。構成力を身に付けるため、他の作家さんの本を読んだ際、どのページで何が起こったか書き出して構成を分析したりしています。
また、構成やトリックに騙されるのも楽しいのですが、自分はトリックよりも犯人の動機に惹かれます。なぜそのトリックを使ったのかなど、動機には登場人物の内面が深く関わってきます。トリックの面白さだけで終わらず、人間ドラマを描きたいと思いつつ書いていきました。
―小説を書く際に意識していることを教えて下さい
文章も内容も、読者にとって分かりやすいことが第一だと思っています。また、自分が面白いものが、読者にとっても面白いとは限りません。例えば、ぼくは自分の処女作が面白いと疑っていませんでした。賞に応募して、受賞すると信じていたのですが、受賞には至りませんでした。そのとき気が付いたのが、自分が面白いものが、他の人にとっても面白いとは限らないということです。自分が好きなものだけ書いてもプロにはなれないと気づき、流行に合わせていく、つまり読者の望んでいるものを書くという方向に変えました。読者がいるから自分が書けている。そのことを忘れず、読者のために書く。そういう精神が作家で一番大事だと思っています。
―大学生作家として一言お願いします
大学は自由な時間がたくさんありますよね。その時間をただ浪費するか、自分のために使うかというのは本人にかかっています。自分の好きなことをとことんやってみるというのは大事だし、そうした方が楽しいと思います。大学時代は色々挑戦するチャンスなので、やるからには一番や満点を目指すといいのではないでしょうか。達成できなくても、なぜできなかったのかという分析ができます。中途半端にやったり、惰性でやったりするのは良くありません。何も身に付きません。何かをやり遂げるためには本気でやることが大事だと思います。今はぼくも執筆と学業の両立で大変なところもありますが、本気で頑張っています。結局、小説を書くのが楽しいから続けているんですけどね。今のぼくの目標はベストセラー作家です。皆さんと一緒に頑張っていきたいです。