【書評】『勘違いが人を動かす 教養としての行動経済学入門』エヴァ・ファン・デン・ブルック、ティム・デン・ハイヤー
「論理」よりも 「情熱」よりも、 「人を動かすもの」 それは、当たり前のように見えてしまい、普通の人はわざわざ考えようとはしないだろう。 実は人の行動は、日常のさまざまな場面で自然に誘導されているようだ。著者は「一見すると小さなことが人の行動に大きな影響を及ぼす現象」...
「論理」よりも 「情熱」よりも、 「人を動かすもの」 それは、当たり前のように見えてしまい、普通の人はわざわざ考えようとはしないだろう。 実は人の行動は、日常のさまざまな場面で自然に誘導されているようだ。著者は「一見すると小さなことが人の行動に大きな影響を及ぼす現象」...
「人生など、自分の力でどうこうできるものではない」。「自分ではどうにもできないものがこの世にはあるのだ」。真柴のこれらの言葉は、人生には不条理や理不尽が付き物であると、私たちに強く認識させる。 本書は、岩手県出身の著者が、東日本大震災の発生した東北を舞台に描く、震災クライムサ...
戦争は平和なり 自由は隷属なり 無知は力なり 私たちはこのスローガンをはっきり否定することができるだろうか。 主人公・ウィンストンは、「ビッグ・ブラザー」率いる党の独裁体制のロンドンで暮らしていた。彼はある一片の紙から党の独裁に疑問を抱き始め、奪われた自由を求める。 党のスロ...
「異界」という言葉を聞いたとき何を連想するだろう。あの世、神域、異空間、または異世界? 本書の内容は、複数分野の研究を通じ日本人の異界観の輪郭を見いだそうとするというものだ。 掲載されている論文の内容は多岐にわたり、その中には異界とは直接的に関わりがないように感じられるもの...
あなたは人間の脳の働きを調べたい。どのような手法をとるだろうか。頭蓋骨に穴が開いた人を連れてきて、直接測定する。嘘だと思うかもしれないが、これが脳体積の変化を初めて報告した実験である。本学卒業生菅野巖氏著『脳血流量は語る-かくれた謎をひも解く-』(中外医学社)では、我々の脳血流...
『三太郎の日記』は1914年に哲学者である阿部次郎(1883~1959)によって「第一」が発表され、その後「第二」「第三」と続いた作品。大正・昭和期においては青春のバイブルとして、学生必読の書であった。 本作では、作者をモデルとした主人公・青田三太郎が明治44年(1911年)...
大学に進学することは、経済的に見て「得」であるのか。「得」であるとしたら、それはなぜか。本書は、大学をめぐるマネーの流れや、大学が生み出す経済効果について、理論や研究論文を取り上げながら解説する。 教育経済学では、大学進学が経済的にどれだけ合理的であるかについて、大学教育を投...
『祭祀と供犠 日本人の自然観・動物観』は、日本人の自然観や動物観を、神に捧げられる「犠牲」を通して多角的に探求した中村生雄の著書である。著者は、「イケニヘ」を捧げる供犠が、神と人間の関係を設定するために行われるものだとし、世界各地の供犠と比較しながら日本の供犠文化の本質を探る。...
宵山(よいやま)を知っているだろうか。宵山とは、毎年7月に行われる日本三大祭りの一つである祇園祭の、3日前から前日までの総称である。本祭とは異なる幻想的で不思議な一日。そんな宵山に起きる数々の奇妙な事件を描いたのが、森見登美彦の短編集『宵山万華鏡』である。本書は六つの物語で構成...
森見登美彦の小説『夜行』では尾道、奥飛騨、津軽、天竜峡、鞍馬を舞台とした、登場人物たちの不可思議な体験が描かれる。 主人公の大橋は大学時代の友人である中井、武田、藤村、田辺と集まり、10年ぶりに鞍馬の火祭を見物しに行く。祭りの前、大橋は、10年前の鞍馬の火祭で失踪してしまった...
「日本で暮らしていると、時の流れがちょっと速すぎると思うときがあるんだよ」 ◇ ◇ ◇ 東日本大震災から13年弱が経過した今年2月に発行された書籍『涙にも国籍はあるのでしょうか』は、震災に関連して亡くなった外国人たちの生前の足取りを追い、彼らとともに生きた人々のその後...
エリートの扇動 学生はなぜ戦地に 「戦争だから国のために死んでくれ」。戦後の私たちは、国家のために自分や大切な人の命を投げ出す感覚とは遠いところに生きている。だが戦時にはそんな思想が確かにあった。本書はかつて東北帝大でも教鞭をとった哲学者・田辺元の著書『歴史的現実』を読み解く、...
宮沢賢治の没後90年にあたる今年、門井慶喜著『銀河鉄道の父』が映画化され、大きな話題を呼んだ。『銀河鉄道の夜』や『雨ニモマケズ』などの優れた詩や物語を残したことで広く知られる賢治だが、生前は無名の作家だった。賢治を支え、作品を後世に伝えるにあたって重要な役割を担ったのが、宮沢...
早押しクイズは、プレイヤーの知識量だけでなく、問題文の内容や傾向を推測する、論理的思考も正解のカギを握る。プレイヤーの思考が常人の理解できる範囲を超えたとき、論理的思考はまるで「魔法」のように映る。 小川哲著『君のクイズ』は名前の通り、クイズを題材とした作品だ。主人公・三島玲...
大学生の読書の時間が減る今、そのきっかけを与える本を学問のスペシャリストである本学教員が紹介する企画、「一読三嘆」。今回は経済学研究科の守健二教授が、マックス・フリッシュの小説『ホモ・ファーバー』を紹介する。 合理性が自壊していく話が好きだ。一口に「合理性」と言っても、今...
7月14日に第165回芥川賞の受賞作品が2作品決定し、そのうちの一つに本学卒業生であり、現在はドイツ在住の石沢麻依さんの『貝に続く場所にて』が選出された。
今回は、本学グローバルラーニングセンター准教授の髙橋美能先生が、学生に読んでほしい書籍として推薦する書籍を紹介する。書籍は、髙橋先生の著書である『多文化共生社会の構築と大学教育』。感染症の影響で、大学での学びは変化しつつある。本書は、授業への取り組み方を再考するきっかけになる...
罪を共有した男女が生きるのは太陽の当たらない世界だった。今回紹介するのは東野圭吾著『白夜行』。ある事件の被害者の息子である桐原亮司と容疑者の娘である西本雪穂が歩む 人生を描いた作品だ。なお、ここからは物語の内容に触れることをご容赦願いたい。
悪人とは、どのような人物を指す言葉か。この問いに、犯罪者、特に殺人事件の犯人を挙げる人は少なくないだろう。殺人事件のニュースを目にすると、犯人を凶行に走らせたものは一体何か、という言い回しが頻繁に用いられている。しかし、犯人が人殺しに至った経緯や理由の真相は、報道を通じて簡単に...
毎年夏は、戦争について考える機会が多くなるのではないだろうか。そこで今回は戦争について考える一つのきっかけとして、『へいわとせんそう』という絵本を紹介する。『二十億光年の孤独』、『女に』、『ことばあそびうた』などで知られる日本を代表する詩人の谷川俊太郎さんが文を、シンプルなモノ...