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【インタビュー】仙台クラシックフェス開催 ”音が静寂に還る過程 美しく描く” ピアニスト 牛田智大さん

 仙台クラシックフェスティバル(通称せんくら)が9月30日から先月2日の3日間、仙台市内の各会場で行われた。出演者の一人である、若手ピアニストの牛田智大さんに話を聞いた。

(聞き手は照井希望)



―現在の主な音楽活動は

 演奏会への出演です。1人で演奏するものもあれば、協奏曲や室内楽のように複数の音楽家が集まって行うものもあります。

うしだ・ともはる
1999年、福島県生まれ。父親の転勤に伴い、生後すぐ上海へ渡り
6歳まで育つ。2018年の第10回浜松国際ピアノコンクールで
日本人歴代最高第2位、合わせてワルシャワ市長賞、
聴衆賞を受賞。19年、第29回出光音楽賞受賞。
若手を代表するピアニストとして注目を集める。
©Ariga Terasawa(写真は株式会社ジャパン・アーツ提供)



―仙台クラシックフェスティバルに参加する意義は

 「クラシック音楽を地域に根差した存在にする」というコンセプトのもと、多くの素晴らしい音楽家が集う魅力的な音楽祭なので、参加者の一人に名を連ねられることを非常に光栄に思っています。


―ピアノやクラシック音楽の魅力は何か

 音楽において最も美しいのは「音がない瞬間」、つまり静寂です。全ての音は静寂の美しさのために存在しており、全ての音楽は静寂から始まり静寂に還らなければならない、と私は考えています。この意味で、ピアノの魅力は「静寂に還る」過程、つまり音の減衰を最も自然に美しく描ける楽器であることだと思います。


 一方、クラシック音楽の魅力は、作品が歴史や哲学と強く結びついていることだと考えています。例えば、ハイドンなどの作品には、絶対君主制の非生産的な側面を揶揄するような部分があります。ショパンは革命音楽的な作品を手掛けましたし、プロコフィエフやショスタコーヴィチの作品は戦争の惨禍や独裁政治の恐怖を描いた、歴史的遺産と言えるものです。芸術には、人間が過去に犯した罪、過去に得た教訓、過去に感じた感情を、言語や数値を超えて本能に最も近い形で再現する、一種の「記憶装置」としての役割があり、音を介して歴史を読み解くような面白さを感じます。


―学生時代に経験すべきことは

 目指すものによって大きく違うでしょうが、静寂の中で過ごす時間を充実させることは今思うと貴重だったと思います。社会に出ると、他人との関わりの中で仕事をしていくことが増えていきますよね。自分一人でできることには限界がありますし、周囲に助けを求めなければならない場面も増えていきます。一方、学生時代には、一人静かに本を読んだり、思索にふけったりする時間と環境が充分にあり、それは素晴らしいことだと思います。


―同年代の本学学生へのメッセージ

 長い人生の中で、皆さんにもいつかクラシック音楽に興味を持っていただけることを願っています。
インタビュー 1107925363193684778
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