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【書評】『砂丘律』 千種創一 青磁社

〈瓦斯灯を流砂のほとりに植えていき、そうだね、そこを街と呼ぼうか〉

 一冊は、この一首で始まる。語り掛けるようなしらべが、作者が描き出す「街」に読者をさそう。心もとない流砂とそれを照らす「瓦斯灯」の柔らかな明かり。緊張と安堵が混在する「街」は、作者が暮らす中東の様子を静かに物語る。




 本書は千種創一さんの処女歌集で、19歳から27歳までに詠んだ410首が収められている。あとがきに「事実ではなく真実を詠おうと努めた」とある。

〈映像がわるいおかげで虐殺の現場のそれが緋鯉に見える〉

〈切り取ったり切り取られたり半島は大きな鋏引き寄せて雪〉

 虐殺の現場も半島を巡る争いも、事実を語ることはたやすい。しかし、事実の奥をひたむきに見、自身の内から紡がれる言葉で読者に語り掛けることで、それは「詠う」という行為に繋がる。

 日本とはおよそ異なる中東の気候、自然、人々、また歴史や信仰、情勢に囲まれた中で、千種さんの内に言葉は生まれ、真実を「語り」、短歌が元来「詠う」詩形だったことを思い出させる。作者のよどみない語りの声に耳を傾け、また作者が見た景色を詠われた歌を通じて一緒に眺める。こうした営みの共有が本書の魅力だ。

 そして、ひと時の共有の後で、千種さんは私たちに求める。「光の下であなたに何度も読まれて、砂のようにぼろぼろになって、いつの日か無になることを願う」と。ざらっとした紙に、本の閉じ紐が見える背表紙、ペーパーバック風の装丁――。

 『砂丘律』をいく度も開くたび、糸はほつれ、紙は破け、やがて砂になるだろう。それを作者は願い、また本も作品もそれを望む。だが、たとえ跡形もなくなっても、その一首一首が読者の心に刻まれていると、いつしか気づくはずだ。まるで、砂時計に砂が積もるように、たしかに、少しずつ。
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