【研究成果】遺伝素因と社会環境がオス同士の求愛に影響する
https://ton-press.blogspot.com/2015/05/blog-post_31.html
生命科学研究科の山元大輔教授らの研究グループは、ショウジョウバエの求愛行動について遺伝的素因と社会経験が協調して脳のはたらきを制御することを明らかにした。また、求愛行動を司る神経細胞を明らかにし、人工的に求愛させることに成功した。
これまでの研究で、ショウジョウバエのオスの変異体がメスに求愛せず、オスに対して求愛するsatori変異体の存在が知られていた。satori変異体では脳をオスの形にするfruitless遺伝子がはたらかない。このことから、同性愛形質は遺伝的に決まると考えられてきた。
しかし、山元教授らはsatori変異体を隔離して単独で育てると、同性への求愛が抑制されることを発見した。これは遺伝子だけでなく社会経験が求愛行動に影響することを示すものだ。satori変異体では集団生活の経験によって神経細胞が視覚的に過敏になり、動く標的がオスであっても求愛する。一方、野生型では集団生活をしても視覚過敏性は見られない。「遺伝子が正常であれば過剰な反応を抑え込む仕組みがはたらくのだろう」と山元教授は考える。
さらに教授らは、神経細胞を直接刺激して野生型のオスをディスプレイ上の動く光点に求愛させることに成功した。ショウジョウバエの求愛行動はオスの前足がメスの体に触れフェロモンを感じて、動くメスを追いかける。つまり、フェロモンが求愛開始の合図、動くメスの姿が求愛を維持させる役割をもつ。
これまでの研究で、フェロモンを感じるとP1神経細胞が活発になることが分かっていた。P1神経細胞はオス特有のニューロンで脳半球あたり20個存在する。そこで、青い励起光を脳に照射し、P1神経細胞を刺激。いったん求愛のスイッチが入ると、動く光点に対して求愛する結果となった。励起光がフェロモン、動く光点はメスの姿のはたらきをしている。
本研究は動物の行動様式を司るゲノム情報と社会経験の相互作用を明らかにすることを目標としている。山元教授は「視覚過敏性を引き起こす感覚ニューロンは何なのか、そしてゲノム情報に対して社会経験がどのようにP1ニューロンに作用するのか分子レベルで物質の動きを解明したい」と今後の展望を語った。
これまでの研究で、ショウジョウバエのオスの変異体がメスに求愛せず、オスに対して求愛するsatori変異体の存在が知られていた。satori変異体では脳をオスの形にするfruitless遺伝子がはたらかない。このことから、同性愛形質は遺伝的に決まると考えられてきた。
しかし、山元教授らはsatori変異体を隔離して単独で育てると、同性への求愛が抑制されることを発見した。これは遺伝子だけでなく社会経験が求愛行動に影響することを示すものだ。satori変異体では集団生活の経験によって神経細胞が視覚的に過敏になり、動く標的がオスであっても求愛する。一方、野生型では集団生活をしても視覚過敏性は見られない。「遺伝子が正常であれば過剰な反応を抑え込む仕組みがはたらくのだろう」と山元教授は考える。
さらに教授らは、神経細胞を直接刺激して野生型のオスをディスプレイ上の動く光点に求愛させることに成功した。ショウジョウバエの求愛行動はオスの前足がメスの体に触れフェロモンを感じて、動くメスを追いかける。つまり、フェロモンが求愛開始の合図、動くメスの姿が求愛を維持させる役割をもつ。
これまでの研究で、フェロモンを感じるとP1神経細胞が活発になることが分かっていた。P1神経細胞はオス特有のニューロンで脳半球あたり20個存在する。そこで、青い励起光を脳に照射し、P1神経細胞を刺激。いったん求愛のスイッチが入ると、動く光点に対して求愛する結果となった。励起光がフェロモン、動く光点はメスの姿のはたらきをしている。
本研究は動物の行動様式を司るゲノム情報と社会経験の相互作用を明らかにすることを目標としている。山元教授は「視覚過敏性を引き起こす感覚ニューロンは何なのか、そしてゲノム情報に対して社会経験がどのようにP1ニューロンに作用するのか分子レベルで物質の動きを解明したい」と今後の展望を語った。