【特別インタビュー】最高裁判所判事 菅野博之さん ~色々な角度からの視点必要~
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―仕事内容を教えてください
最高裁判所の判事は忙しいですが、仕事の幅が広くておもしろいです。地方裁判所は民事、刑事に分かれ、大規模な庁には様々な専門部があり、裁判官はその分野の事件を専門に担当しています。しかし、最高裁判所は最終審として、民事、刑事、家事、少年、行政、特許などのさまざまな事件を全て担当することになります。一日に10件以上担当することもしばしばあります。ただし、地方裁判所、高等裁判所の裁判官のように法廷に立つ回数はあまり多くありません。
―大学進学以前は将来、何になろうと思っていたのですか
小学生の時から現在に至るまでSFマニアで、科学が好きです。そのため、小学生の時は天文学者になろうと思っていました。また、火星探検隊の隊長になりたいと本気で思っていました。これらのことから、高校では理科を中心に学んでいました。
一方で、中学生の時から、社会政策や経済政策が好きで、よく友人に話をしていました。その頃は将来、科学者か経済評論家になると思っていました。そのため、高校時代は科学雑誌や経済企画庁の機関誌をよく読んでいました。
―東北大学法学部に進学した理由を教えてください
大学進学はとても悩みました。東北大学は北海道に住んでいる人にとってあこがれでした。その学風や、必修科目が少なく、他学部単位も認めてくれるという自由さに惹かれ、東北大学を選びました。その中でも、一番様々な分野が学べると思ったので法学部に進学しました。
―どうして法曹の道へ進んだのですか
大学に進学した時点では、法曹の道はあまり考えていませんでした。しかし、「若くして自分の意志を実現できるのはどんな職業か」を熟考した結果、「法律家が最もふさわしい」という結論になりました。そして、知人の影響もあって司法試験を受け、合格して法曹の道へ進むことになりました。
―裁判官を選んだ理由を教えてください
昔から刑法が好きだったので、はじめは検察官か弁護士になろうと思っていました。しかし、民事裁判の修習は、とてもやりがいと達成感がありました。また、刑事裁判の修習の時、裁判官に「始めに裁判官になり、そこで検察官や弁護士の仕事をよく見るのが一番いい」と教えられました。そこから、自分の考えが「裁判官から検察官や弁護士になることはできるが、その逆は難しいからまず裁判官になろう」という考えになりました。はじめは、3年くらいしたら検察官(法務省)を希望する考えもありました。しかし、裁判官になった後イギリスに留学させてもらい、その後最高裁判所行政局で調査、研究の仕事をするうちに、「裁判官を一生やっていこう」と思うようになりました。
―法学を学問として学ぶ上で大切なことは何ですか
数ある基本書の中から一冊を決めて何度も読み込むことが大切だと思います。最初は、一読してもよくわからないと思います。昔の私もそうでした。しかし、私は本の内容に賛成ならば黄色、反対ならば水色の線を引いていました。気がつくと私の本は水色の線が目立ちました。つまり、批判的な読み方だったのです。基本を正確に押さえながら、批判的な読み方もすることが効果だと思います。
―本学学生に一言お願いします
様々な分野の本を読んでほしいです。思考に柔軟性がつき、幅を広げることができます。さらに、いろいろな選択肢を生み出すことができ、いろいろな角度から物事が見られるようになります。
最後に、サークル活動やアルバイトなど、大学時代にしかできないことを楽しんで最高の大学生活を送ってください。