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【ネタ記事】雨乞いで恵みの雨を…… ~てるてる坊主、たき火、呪文~

 「暑い、暑すぎる」最高気温30度の6月某日、筆者はひたすら考えていた。場所は報道部の部室。そこでは、週に一度の部会が行われ、二十数人の部員が集まって、ぎゅうぎゅう詰めになっていた。おかげで部室は蒸し風呂地獄と化している。




 「暑さから逃れたい。そろそろ梅雨の時期。雨でも降れば涼しくなるのかな……」ふと窓に目を向けるが、雨は微塵も降っていない。さて、どうしたものかと困り果てたその時、筆者の頭にある妙案が浮かぶ。「雨が降らぬなら、降らせてしまえばいいじゃないか」こうして、筆者の雨乞いへの挑戦が始まった。

 雨乞い当日。筆者は部員と共に、牛越橋を訪れた。この日の天気は快晴。絶好の雨乞い日和だ。
最初に行ったのは、たき火と呪文。山で火をたき、大騒ぎをすると、雨乞いの効果があるらしい。また、雨を降らす呪文も見つけたので、たき火と呪文を組み合わせて行うことにした。

 早速薪を組み、火を付ける。ほどなくして、薪から火がめらめらと燃え始めた。筆者たちは火を囲み、呪文を唱える。呪文は「レフメアンサクタ レフレメアンサクタ レフメアンサクタ」「ガンジ ガンジ ガンガンジ」「ウンババ ウババ ウンバババ」ちなみに、筆者は呪文の言語も意味も分かっていない。

 さらに、大騒ぎをする必要があるので、用意したピロピロ笛とタンバリンを使って騒ぐ。河原には他にも人がいて、皆バーベキューを楽しんでいる。それに対し、謎の呪文を唱えながら、ピロピロ笛とタンバリンを鳴らす筆者たち。彼らには筆者たちの姿がどのように映ったのか気になって仕方がなかった。

 次は、雨乞いの儀式なるものを行った。儀式の手順は①白い紐で直径3メートルの円を作る②酒と塩を供える③全員で空に向かって、「情緒のある雨を降らせてください」と5分間祈る④円の中で、白い着物を着た17歳の少女が1曲踊る⑤もう一度、全員で祈る―というものだ。

手 順に従い、円と供え物を用意して、全員で祈る。次は舞だが、当然報道部には17歳の少女はいない。妥協として、永遠の17歳乙女である筆者が舞う。舞と音楽はなんでもいいので、先輩Mに教えてもらったキルギス民謡の踊りを踊った。「雨を降らせてくれる神様はキルギスの踊りを知っているかな……」そんなことも考えたが、神様がキルギスに造詣が深いことを信じることにした。

 最後は逆さてるてる坊主。誰もが旅行や遠足で晴れることを願い、てるてる坊主を作ったことがあるだろう。通常快晴のために使うてるてる坊主を逆さに吊るすことで、雨乞いするのだ。

 今回はてるてる坊主を作るのではなく、筆者自身がてるてる坊主になることにした。快晴を願うてるてる坊主は白いが、雨を乞う場合は黒いてるてる坊主を使う。また、逆さてるてる坊主には両目がある必要がある。部室に戻った筆者は、部員たちに手伝ってもらい黒い布をまとい、紙で作った目をつけて、てるてる坊主になる。

 黒いてるてる坊主となった筆者を見て部員たちがどよめく。「これはやばい」「狂気を感じる」「ここまで想像の斜め上をいくとは思わなかった」と散々な言われよう。しかし、そんなことを気にするようでは真の報道部員と言えるだろうか、いや言えない。唖然とする部員たちを放置し、逆さまになろうとするが、その方法を考え忘れていた。仕方なく横になり、足を上げることで、逆さまになったことにした。

 逆さてるてる坊主をやりながら、筆者はこれまでの雨乞いを振り返った。たき火と呪文、儀式、そして逆さてるてる坊主。暑さから逃れるために、雨乞いをしてきたが、ひとつ気が付いたことがある。雨乞いをした結果、むしろ暑さを感じていたのだ。涼しくなりたかったのに、これでは本末転倒だ。

 「雨よ、降っていてくれ」と念じながら布を取り、外を見るが、やはり雨は降っていない。愕然とする筆者に後輩Nが一言。「先輩、伊豆で雨が降っていますよ」いや、仙台で雨が降らなければ、意味がないのでは。「雨乞いの効果が出たのは仙台ではなく伊豆か……」そんなことを思いながら、はるか遠くの伊豆の空を思い浮かべる筆者であった。
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