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【研究探訪】-国立天文台- 小谷研究員インタビュー ~惑星探査の最前線~

 国立天文台太陽系外惑星探査プロジェクト室研究員、小谷隆行さんにお話を伺った。

―天文学者とはどのような職業なのでしょうか

 一口に天文学者といっても、様々なスタイルがあります。大きく分けると、主に数値シミュレーションや天文現象を説明するモデルを作成し、未知の現象の解明を目指す人たち、世界各地の望遠用を使用して観測を行う人たち、自ら全く新しい観測装置を考案・開発して誰も見たことのないものを発見しようとする人たちに分かれます。私は3つ目のグループに分類されます。いずれの役職も重要で、お互いに協力しあって研究を進めることが必要です。 


 理論家が新しい理論を考案した場合、観測により検証する必要がありますし、逆に観測によって見つかった新しい天体現象を、理論家がモデルを作って解釈することも多々あります。

ー現在の研究内容について教えてください

 第一に、太陽系外の地球型惑星を発見することを目指しています。まずはすばる望遠用の新しい観測装置を開発中で、これを用い惑星の存在を間接的な方法で確かめます。惑星の重力が恒星に及ぼす影響を検出するため、惑星そのものは見えないのですが、太陽系の近くにある恒星をたくさん観測し、どの程度地球に似た惑星が存在するかを明らかにします。 第二に、発見した惑星を、今度は直接分解して観測する装置の開発を行っています。これにより惑星大気の物質の組成を明らかにします。もし水やオゾン、メタンなどが含まれていれば、そこに生命が存在する可能性があります。ただし、惑星は恒星に比べて非常に暗い上、恒星のごく近くを周っているので、従来の望遠鏡では観測が非常に困難です。そこで建設が予定されている次世代の口径30メートル望遠鏡、通称TMT(thirty meter telescope)と、それに合わせた特殊な装置の開発が必要になります。 地上の望遠鏡でより遠い細かい構造を観測するためには口径の大きなものを使う必要があるのですが、現在では10メートルほどが限界なのが実情です。そこでいくつもの小さな鏡を組み合わせ、合成主鏡有効径を30メートルまで拡張したものがTMTです。

 開発は国際協力で行い米・カナダなどに加えて、日本は国立天文台が大きな役割を果たすことになります。この望遠鏡のために、惑星を直接検出・調査する専用装置を開発しています。

―将来研究者を志望する学生に向けてメッセージをお願いします

 まずは学部4年間の勉強をしっかりとしていただきたいと思います。天文学者を目指す場合は、数学や物理が全ての基礎となります。ご存じのとおり研究職は競争が激しく狭き門です。博士号を取得しても、就職できるとは限りません。厳しい時でもあきらめない覚悟を持ち、自分の研究を好きでい続けることが必要だと思います。

 また、未知の事柄に挑戦する力、そして物事に道筋をつける力が重要となります。手本のない理論や装置をてがけていくわけですから。仮説を理論へと、論理的なものへ昇華させる力を養ってほしいと思います。
研究、施設見学 5627659625976493915
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