読み込み中

【論点】消費税増税 ―古谷准教授に聞く

まだ社会に出ていない大学生にとって、「消費税」はおそらく一番身近な税制度だろう。その消費税が今年4月から新たに5%から8%に引き上げられた。今回は消費税増税が経済にどのような影響を与えるのか、そして経済学について本学経済学研究科の古谷豊准教授にお話を伺った。




―経済学とはどのような学問ですか
社会が必要とするモノやサービスの生産と交換を理論的に究明する学問です。社会が法的な秩序を保って生活できるようにするのが政治の問題で、そのなかでどのように必要なものを獲得し行き渡らせるかというのが経済の問題です。

―4月から消費税増税が始まりましたね
「社会保障と税の一体改革」で社会保障の安定財源確保を目的に決まりました。予定では来年10月に10%に引き上げられます。

―消費税増税は日本経済にどのような影響を与えると考えていますか
国民全体としては年間約8兆円の負担が増える見通しです。政府も景気の腰折れを防ぐために大規模な経済政策パッケージを用意しています。もっとも、消費税増税が経済に与える影響を注視することは必要ですが、では増税延期ができるかというと、そのような選択肢はありません。

―なぜですか
日本は現状、GDPの約240%にあたる公的債務を抱えています。経済破綻したギリシャでさえGDPの約170%であったことを踏まえれば、これがいかに異常なことか分かると思います。私たちが税金や社会保険料でまかなえていない水準の社会保障を享受し続けたことが主な原因で、わずか15年間でGDPの100%相当の債務を積み上げてきました。消費税率8%や10%はまだ低すぎますし、引き上げ時期も遅すぎます。

―それは厳しいですね
かつては戦争が国家を破産させましたが、今日の国家は社会保障で破産の危機にさらされます。我々国民には、「増税は財務省の悪知恵だ」というような甘言に踊らされることなく、どの程度の社会保障を誰がどう負担していくのかという当たり前の議論と向かい合うことが求められています。

―学生にメッセージをお願いします
大学時代に体と心を存分に鍛えてもらいたいです。みなさんが生きていくこれからの日本社会は、財政や人口構成の問題だけでなく安全保障など多くの厳しい問題に直面して、社会として適切な答えを遅滞なく出していくことを迫られます。
昨今、教養の重要性が盛んに叫ばれています。教養は重要なのですが、それだけでは不十分です。教養は、ある程度の心身のたくましさがあってこそ、若さと勇気があってこそ、困難に立ち向かう武器になります。実りの多い学生生活を送ってもらいたいと思います。

論点 7158536532393627190
ホーム item

報道部へ入部を希望する方へ

 報道部への入部は、多くの人に見られる文章を書いてみたい、メディアについて知りたい、多くの社会人の方と会ってみたい、楽しい仲間と巡り合いたい、どんな動機でも大丈夫です。ご連絡は、本ホームページやTwitterまでお寄せください。

Twitter

Random Posts