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本学所有の天体望遠鏡 ハワイへの移転が完了

 本学の理学研究科惑星プラズマ・大気研究センターが所有する、国内唯一の「惑星大気観測専用60cm望遠鏡」が、福島県飯舘村からハワイ・ハレアカラ山頂に移設された。移設の経緯について、計画責任者の坂野井健准教授にお話を伺った。

 天体望遠鏡は大きく分けて光学と電波の2種類がある。本望遠鏡は前者にあたり、観測所周辺の天候に大きく依存するのだが、これが移設の最大の理由だという。もともと飯舘村の晴天率は約10%と気候条件は芳しくなく、かねてより移設が検討されていた。契機となったのは2011年の東日本大震災。放射線量の増加に伴い村が計画的避難区域に指定された。このため、夜間宿泊できず、現地での食糧調達が難しいなどあって長時間滞在を要する望遠鏡観測が困難になったのだ。 

 代替地を検討したところ、最適と判断されたのがハワイ・ハレアカラ山頂である。晴天率が約70%と望遠鏡観測には適切なのが一番の要因であった。ハワイ大学にこれを打診したところ、「復興の手助けになれば」と快諾が得られた。

 移転先での建設は順調に進むかと思われていたが、山頂が州立公園内ということもあり、工事許可を取るのに予想外に苦労したという。しかし本学およびハワイ大学のスタッフ、現地業者の協力のもと、ようやく建設にこぎつけた。

 今回建設された「惑星大気観測専用望遠鏡T60観測施設」には新たに3つの装置が新装される予定であり、より高い性能を有する。撮像だけでなく、分光機能により惑星大気の組成や風速、温度をさらに詳しく観測できるという。

 現在は望遠鏡を自動運用できるよう設計を進めている。ふもとから山頂まで片道2時間近くかかるため、観測や点検の度に山を登る手間を省くためだ。「将来的には定期メンテナンスを除き、ドームの開閉や望遠鏡の切り替えなどは日本からの遠隔操作で行いたい」と坂野井准教授は話す。


 今後どのような観測を行いたいかについて准教授は「個人の研究として地球を含めた惑星のオーロラの研究を進めたい。また他の研究機関との共同研究として、太陽系外惑星の大気の組成を詳しく調べ、水の存在を明らかにし、最終的に地球外生命体の存在可能性につなげていきたい」と胸中を語った。


研究成果 1328027678134839289
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