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【復興の今・研究成果】「動画でふりかえる3・11」 ~津波映像 防災につなげる~

 災害科学国際研究所の佐藤翔輔助教は、2011年3月11日に発生した東日本大震災の津波の発生状況と被害を映像でたどる動画検索システム「動画で振り返る3・11―東日本大震災公開動画ファインダー―」を公開した。このシステムにより、インターネット上にある東日本大震災の動画がより有効活用されることが期待される。




 本システムでは、地図上に表示されたピンをクリックするとインターネットのユーチューブ上にある動画のURLが表示され、その場所から撮影された動画を見ることができる。地図は拡大・縮小が可能であり、拡大することで撮影場所のより正確な位置が特定できる。動画は地震発生時、津波襲来、津波直後の三つに分類され、地図上のピンはそれぞれ青、赤、黄色に色分けされて表示される。市町村やフリーワード入力によっても動画を検索することができる。

 震災の動画とその撮影場所という位置情報をリンクさせるためには、まず動画に入っている位置情報が利用された。しかし、ユーチューブ上に公開されている動画のうち位置情報が含まれていたものはごくわずかにとどまる。そこで、位置情報の入っていない動画については、グーグルマップのストリートビュー機能を使用して目視で位置情報を特定した。現在本システムにリンクされている動画1369件のうち、動画に位置情報が入っていたものは数十件であり、それ以外は目視で位置情報を特定したものである。

 動画の位置情報の正確性は高、中、低の3段階にわけて表示される。「高」は、正確に場所を特定できたもの。「中」は、ストリートビューによっては目視で確認できないなどの理由から位置情報の正確性が「高」より劣る動画である。「低」は、市町村レベルの位置情報しか特定できなかった動画を指す。本システム利用者からの情報提供があれば、位置情報の修正や新たな動画のリンク追加も行う。

 本システムのベースとなった動画のデータ収集は、2014年から始められた。インターネット上にある動画は、「津波」「浸水」など震災に関連する言葉で検索することによって一つひとつ収集。東日本大震災を撮影した動画は、それ以前の災害よりも多く、撮影場所も広範囲に渡ったという。「津波という持続的に継続する災害だったこと、数分前から津波の襲来が予告されていたこと、動画を簡単に撮影できるスマートフォンなどの機器が普及していたこと、被災された方の人口が比較的多かったことなどが関係しているのではないか」と佐藤助教は分析する。

 収集された動画をもとに15年後半から本システムの開発が開始された。「収集した動画のほとんどに位置情報が入っていなかった。このままでは数十年後にはどこで何が起こったのか分からなくなってしまうと考えたことが、このシステムを開発しようと思ったきっかけ」と佐藤助教は振り返る。「動画と位置情報をリンクさせることで、その動画の情報としての価値を何倍も高めることができる」と本システムの意義を強調する。

 東日本大震災は、都市部、農業地域、漁港などさまざまな地域を襲った災害であった。「自分の住んでいる地域と似た地域の動画を参考にして、避難計画や防災などに役立ててもらいたい」と佐藤助教は語った。
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