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【明日への提言】仙台空港PFI民営化へ ~地方空港で初の試みへ~

 仙台空港の民営化に向けて準備が進んでいる。事業者は空港ビルが経営するターミナルビルと、政府が管理している滑走路の一体運営を行う。




順調にいけば2016年3月に開始される見通しだ。PFI(注1)やPPP(注2)という考えに基づき、公共施設に民間の資金を活用しながら政府と民間が協力して運営を行う取り組みは、今まで主に首都圏で行われてきた。しかし、地方でこの取り組みが行われるのは珍しく、運営そのものを民間が担うことは地方空港で初の取り組みであるため全国から注目を集めている。

 「民間の経験や考え、計画実行力を取り入れられるようになるのはとても魅力的なことです」と本学大学院経済学研究科の大滝精一教授は語る。これまでの政府が主体となった運営ではどうしても管理体系などに限界があった。民営化を行うことで民間のノウハウを取り入れることでき、今までとは違った運営方法が実現され、サービスの向上やコストの削減が可能となる。

 また、仙台空港民営化には復興という側面で大きな期待が寄せられるという。「公共施設に民間資本が利用されるようになれば、政府に依存しがちな復興事業からの脱却が望めます。地域に寄り添った支援が可能となっていくでしょう」。支援が地域に寄り添ったものとなれば、被災当事者のニーズをより的確にくみ取ることができる。さらに、仙台空港民営化が成功すれば東北経済へ良い影響を与えるということにも期待ができる。

 仙台空港民営化で懸念されることに「政府と民間での、リスクや事業分担の明確化」が挙げられる。リスクの面に関しては、国土交通省が事前に市場調査を行い、リスク分担などの事業の仕組みを構築してきた。しかし、災害に備えた保険加入義務範囲や政府の保障範囲などいまだ明確にされていない部分がある。一方事業の面でも、求められている役割を実行できるのか不確定な部分がある。これからは、不透明な要素を除いていくことが必要となる。「仙台空港民営化は、新たな運営や管理形態への試金石となるでしょう。民間の役割拡大の契機となる大きな出来事に注目です」と大滝教授は語った。


 注1…プライベートファイナンスイニシアティブの略。公共サービスの提供に際して公共施設が必要な場合に、従来のように政府が直接施設を整備せずに民間資金を利用して民間に施設整備と公共サービスの提供をゆだねる手法

 注2…パブリックプライベートパートナーシップの略。政府と民間が協力して事業を行うこと
明日への提言 7398348743096821194
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