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食品学研究で紫綬褒章 未来科学技術共同研究センター 宮澤陽夫教授

 未来科学技術共同研究センター兼農学研究科の宮澤陽夫教授が平成27年春の褒章において紫綬褒章を受章した。紫綬褒章は科学技術や学術、スポーツ、芸術文化の分野で優れた業績を挙げた者に授与される国家褒章。受章に関して宮澤教授は「長年の頑張りが認められて嬉しい」と顔を綻ばせた。

 宮澤教授の研究分野は食品学であり、特に注目してきた物質が過酸化脂質である。過酸化脂質は食品劣化や生体の細胞障害に関係する。脂質は人間の体の組織や細胞にも含まれており、脳のおよそ半分は脂質が占めている。脂質が劣化すると過酸化脂質となる。
 宮澤教授は過酸化脂質を定量するための高感度な手法と装置を電気通信研究所と共同で開発し、それらを用いて体内の脂質の過酸化と病気や老化との関連を研究し続けた。しかし、宮澤教授が開発した特殊装置を用いた定量法は誰もが応用できるものではなかった。その後、最先端の質量分析装置でも定量に成功し、研究成果の再現性と正確さが証明されたのは10年ほど前のことである。また、正確な定量に必要となる高純度な過酸化脂質を異性体ごとに合成することにも成功。分析が難しいとされる過酸化脂質の正確な分析ができるところは世界でも宮澤教授のグループだけである。
 体の老化を食べ物で抑えることに興味を持ったことから始まった宮澤教授の研究。緑茶カテキンの抗酸化作用を初めて証明したのも宮澤教授である。さらに日本食の健康有益性も証明。日本人の長寿の秘訣である日本食を中国やインド、タイなどのアジア諸国へ発信する活動をしている。
 近年は、東北の食品産業界と連携した研究を進めている。「東北にはいい食材が沢山あるのだから、食料供給地のままで終わってはいけない」と、宮澤教授は指摘。東北で生産された食材を東北で加工して付加価値を高めることの必要性を説く。地元企業の要求に合わせた新しい食品を生み出すために、食品加工を研究するプラットホームの開設を目指す。
 宮澤教授が確立した分析方法によって過酸化脂質の研究はさらなる発展が期待される。脳や血管、細胞の老化、それらに伴う認知症や動脈硬化を食べ物でいかに防ぐのかを調査する研究が進められていく。今後について「基礎研究を推進しながら、産学連携で新食品を生み出し、社会へ貢献していきたい」と展望を語った。

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